左から髙島悟社長、濱田弘之副社長
2024年1月1日付で東洋インキSCホールディングスから社名を変更したartience(アーティエンス)は今後、事業ポートフォリオ変革やM&Aにも積極的に取り組んでいく方針だ。今後の事業方針やM&A戦略について髙島社長、濱田副社長に話を聞いた。
―― 約1年半前の社名変更の狙いを教えて下さい。
髙島 「コロナ禍中の2020年3月、社長に就任しました。グループCOOとしてスタートし、2022年3月にグループCEOになるまで2年間、グループCOOを務めました。
社長に就任した当時、弊社は数年にわたり業績が低迷しており、株価も10年くらいあまり上がっていなかったので、『このままでは今後どうなるかわからない』という強い危機感を持っていました。
その潜在的な危機感が、コロナ禍という未曾有の事態によって一気に進みました。例えば新聞やチラシなどのペーパーメディアが一気に縮小するなど、事業環境の変化が加速しました。このままでは本当に『茹で蛙』で潰れてしまうかもしれない、とまで感じました。
こうしたコロナ禍以降の大きな変化と、その前から考えていたこともあり『思い切って企業変革に挑もう。そのための1つの象徴的な取り組みが社名変更だ』と考え実行しました。社名変更については専門家の力を借りることにし、外資系のコンサルティング会社に依頼しました。新社名検討においては、社内の声が反映された50から60の候補の中からプロジェクトチームで3案に絞り込み、最終的に現在の『artience(アーティエンス)』に決定しました。
artienceという社名は、『art』と『science』とを組み合わせた造語で、artは色彩をはじめとした五感や心への刺激に加え、リベラルアーツの観点、scienceは技術や素材、合理性を表現しています」
――
企業価値向上に向けた戦略の骨子はどうなっていますか。
■髙島 悟(たかしま・さとる)
慶應義塾大学法学部卒業後、1984年4月に東洋インキ製造株式会社(現:artience株式会社)に入社。米国・タイ駐在を経て、2013年取締役就任。2014年グループ会社であるトーヨーケムの代表取締役社長に就任。2020年代表取締役社長グループCOO、2022年3月代表取締役社長グループCEOに就任。経営理念体系の見直しなど風土改革の推進、事業ポートフォリオ変革、事業会社の統廃合など、大胆なグループの変革を牽引。2024年には社名変更を指揮し、「感性に響く価値」を届ける会社となるべく邁進している。
■濱田 弘之(はまだ・ひろゆき)
中央大学法学部卒業後、1981年東洋インキ製造株式会社(現:artience株式会社)入社。経営管理部長、国際本部企画管理室長を歴任し、海外子会社の事業戦略構築やグループ全体の予算編成などに従事。その後欧州中核会社の代表取締役会長として海外事業会社の経営に携わる。2016年6月取締役就任。グループ経営部長として中長期経営計画の策定、新規事業の検討からM&A戦略の策定などを担当。2025年より取締役副社長としてコーポレート部門を管掌、経営全般に携わる。