[M&A用語]

特別補償

英語 :Special Indemnity

M&A契約における特別補償とは、M&A契約締結時点において当事者が既に認識している特定の事項について、通常の補償とは別に、特別の補償を定める条項をいう。

売主から既に開示を受けた事項、デュー・ディリジェンスで発見された事項など契約当事者が認識済みの事項であって、M&A契約で買収価格に反映することが困難なもの、そして通常の補償でリスク分担を合意することが困難なものについて特別なリスク分担の合意をする。

特別補償が規定される理由は主に2つある。
一つは、株式譲渡を例にとれば、買主が認識している事項については、表明保証違反そしてそれに基づく補償請求が否定される可能性があり(注)、補償請求可能であることを明確にするためである。

もう一つは、一般的な表明保証違反に基づく補償とは異なる補償の方法(損害の範囲、補償のプロセス、補償の制限など)を定めるためである。例えば認識済みの係争案件については、他の認識していない(潜在的な)表明保証違反の事情とは異なるため、請求期間を長期にする、損害額の上限を一般的な補償とは別の取扱いとする等である。

(注)アルコ事件 東京地判平成18・1・17判時1920号136頁

参考文献
(1) 柴田義人他編 『M&A実務の基礎〔第2版〕』 (商事法務, 2018) 107頁
(2) 戸嶋浩二他 『M&A契約-モデル条項と解説』 (商事法務, 2018) 172-173頁
(3) 西村あさひ法律事務所編 『M&A法大全(下)〔全訂版〕』 (商事法務, 2019) 225-226頁
(4) 藤原総一郎編 『M&Aの契約実務〔第2版〕』 (中央経済社, 2018) 279-280頁
(5) 森・濱田松本法律事務所編 『M&A法体系』 (有斐閣, 2015) 253頁

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更新日:2023年06月05日

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