[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]

(2014/04/02)

セブン&アイ・ホールディングス

総合小売業への変革と次の一手 ~オムニチャネル戦略の実現に向けて~

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はじめに

総合小売業セブン&アイ・ホールディングス(以下「セブン&アイHD」という)の成長をけん引してきたセブン-イレブン・ジャパンは、2013年11月に創業40周年を迎えた。1974年に第1号店をオープンして以降、「あいててよかった」の24時間営業などでニーズを取り込み、一定の地域に高密度で出店するドミナント戦略により店舗網を拡大してきた。現在では、国内で約1万6000店舗、世界では5万店舗を超え、国内では1日1700万人の顧客が来店する生活インフラになった。ITの進展などにより小売・流通業界全体が大きな転換期を迎える中、「近くて便利」をキャッチコピーにセブンプレミアムなど「上質感」もプラスしたマーチャンダイジング戦略を推進。最近ではグループとしてリアルとネットの融合を目指す「オムニチャネル戦略」を経営の最重要課題に掲げている。

従来、イオンやダイエーほどM&Aに積極的ではなかった同社だったが、2013年12月には4件の資本・業務提携を発表している。リアルとネットを融合することで、成熟した国内マーケットに新たな市場と成長を呼び起こす、「流通革新・第2ステージ」としての新たな成長に向けたシナリオをスタートさせた。

これまでの動き

■総合小売業の誕生

セブン&アイHDの母体となるイトーヨーカ堂(旧ヨーカ堂)は1958年に設立された。その後、1973年にレストランチェーンの米デニーズとライセンス契約を結び、デニーズジャパンを設立。また、同年に米コンビニエンスストア運営のサウスランドとライセンス契約を結び、セブン-イレブン・ジャパン(旧ヨークセブン)を設立した。以後、コンビニエンスストア事業を軸にしたドミナント戦略を一貫して推進・拡大した。

しかし、2000年代に入り、デフレの深刻化など市場環境が変化し、競争も激化してきた。世界最大の小売業である米ウォルマート・ストアーズが2002年に西友を買収して日本に進出するなど外資の参入があった一方で、行き過ぎた多角化によって過剰債務となっていたダイエーは2004年に産業再生機構の支援を受けた。さらに、この当時、ライブドアが旧ニッポン放送株(フジテレビジョン筆頭株主)を大量取得し、フジテレビジョンへの影響力を行使しようとするなど資本のねじれによる買収リスクが高まっていた。この頃、イトーヨーカ堂も子会社のセブン-イレブン・ジャパンの方が株式時価総額が大きいねじれの状態にあった。敵対的買収リスクの軽減も視野に入れて、イトーヨーカ堂はセブン-イレブン・ジャパン、デニーズジャパンと経営統合し、2005年9月に持株会社「セブン&アイ・ホールディングス」を発足させたのである。そして、2006年1月には、そごう、西武百貨店を傘下に持つミレニアムリテイリング(東京)を買収した。業態の垣根を越え、百貨店を加えた総合小売業となった。当時としては、国内小売業最大、世界でも5位前後のグループが誕生した。以後、大手百貨店の経営統合が相次いだことは周知の通りであり、セブン&アイHDのミレニアムリテイリング買収は、その後の小売業界再編のきっかけになったとも言われている。



 

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