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[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]
(2015/04/22)
~M&Aによって新薬の領域を拡大し「グローバル・カテゴリー・リーダー」を目指す~
1.はじめに
山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生したアステラス製薬は、2015年4月1日に発足10周年を迎えた。現在、同社の売上高は武田薬品工業に次ぐ国内2位であり、2013年3月期にはじめて1兆円を上回った(日本基準、1兆56億円。図表1参照)。また、2014年10~11月には株式時価総額が武田薬品工業のそれを上回る局面が生じた。2015年3月期の当期純利益も同社を上回る見通しと伝えられている。
アステラス製薬は発足(2005年)を機に、医療用医薬品事業に経営資源を集中し、山之内製薬の強みであった泌尿器分野、そして藤沢薬品工業の強みであった移植分野に加えて、新たに「がん」領域を重点分野の一つに位置づけ第三の柱に据えた。直近、2014年度第3四半期まで(2014年4月-12月期)のがん領域の売上高は1490億円、前年同期比73%の大幅増加となっている。同12月期の泌尿器分野の売上高は1420億円、移植分野の売上高は1478億円であり、がん領域はこれに匹敵する規模に成長してきた。
勿論、アステラス製薬の発足自体が医薬品業界では画期的なM&Aによるものであったが、アステラス製薬発足後も、事業売却や事業再編を継続する一方で、がん領域に強みをもつ米OSIファーマシューティカルズなどを対象とする買収や資本参加を積極的に行って、医療用医薬品事業への経営資源集中や重点領域強化といった戦略実現に向けてM&Aを活用してきている。
本稿では、アステラス製薬発足までとアステラス製薬発足後に分けて、M&Aの観点から同社の動きを振り返ってみた。
2.アステラス製薬発足までの動向
(1)合併発表前の両社のM&A
■山之内製薬
レコフM&Aデータベースで両社の合併発表前のM&Aをみると、双方とも数百億円~1,000億円規模の買収等を複数行っている。
山之内製薬は1980年代後半から1990年代前半にかけ、事業の多角化や海外事業の強化を積極化しており、その一環としてM&Aを活用した(図表2参照)。1989年2月に健康食品メーカーで米シャクリーコーポレーションの日本法人であった日本シャクリーを買収し、健康関連食品市場に進出。さらに同年5月には、シャクリーコーポレーション(2000年に社名を山之内コンシューマーに改称)を買収して、食品事業の国際展開を図った。
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