吉田直哉・ロピア代表取締役社長(左)と小森一孝・ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナー
大手百貨店との取引実績を豊富に持つコムパリ 2023年4月、ティーキャピタルパートナーズが管理・運営するTMCAP2016投資事業有限責任組合の投資先であるロピアが、持株会社を通じてCOMMEPARIS(コムパリ)の株式を取得した。
ロピアは2008年の設立で、プリンやタルト、シュークリームなどのチルドデザートの企画・開発・製造事業者として全国のコンビニエンスストア(CVS)、食品スーパー(SM)に商品を供給している。
一方のコムパリは2015年の設立以来、カヌレをはじめとしたフランス洋菓子商品の企画・開発から製造・ 販売を行っている。近年はギフト向け高価格帯製品による催事出店を本格的に進めてきており、大手百貨店との取引実績も豊富に持っている。
ティーキャピタルパートナーズは21年間にわたって東京海上グループ傘下で「東京海上キャピタル」として活動し、2019年8月に
MBO で独立。旧東京海上キャピタルの主要メンバーが普通株式100%を保有する体制へと資本構成を変更し、2019年10月1日、社名を「ティーキャピタルパートナーズ」に変更して新たなスタートを切った。2020年12月には新たなファンド「T Capital VI」(810.94億円)の募集を完了させている。
ロピアによるコムパリ買収の狙いについて、吉田直哉・ロピア代表取締役社長と小森一孝・ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナーに聞いた。
<インタビュー> 百貨店のネットワークを活用して商圏の拡大を図る 吉田 直哉(ロピア 代表取締役社長) 小森 一孝(ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナー)
ファミリーマートによるサークルKサンクス統合の中で ―― まず、ロピアへの投資を実行した経緯から聞かせてください。
小森 「ロピアには2016年12月に投資をさせていただきました。われわれが株を取得する前は創業者ご子息の高井様が株を持っておられました。
愛知県に本社を置くチルドデザートのメーカーで、コンビニエンスストア(CVS)と食品スーパー(SM)向けに様々なデザートを開発・製造しています。1980年代後半から愛知地盤のCVSのサークルK向けにデザートの開発・製造をスタートし、サークルKの店舗拡大に伴い、業容が拡大していきました。さらに東日本のCVSであるサンクスとの統合を機に関東にも工場を新設し、サークルKサンクスのデザートカテゴリーを支える主力メーカーとして、さらに売り上げが拡大していきました。そうした中、2016年9月にサークルKサンクスがファミリーマートに経営統合されるということが起きました。われわれのもとに相談があったのは、その経営統合の話が進んでいた頃です。
中部と東日本の一部で展開するサークルKサンクスに対して、ファミリーマートは全国規模で店舗展開しているため、それまでとは全く異なる規模感で、高い品質管理と安定供給のニーズに対応していくことが必要となり、この分野での経営ノウハウ・知見のあるところに事業を承継してもらいたいと考えたようです。当社では2003年1月に
民事再生 法の適用を申請した京都のタカラブネから洋菓子の製造・販売事業を承継した投資実績があり、同じデザート領域の業界知見や経営ノウハウを有していたことを評価して頂き、2016年12月、東京海上キャピタルが管理・運営するTMCAP2016投資事業有限責任組合が保有する持株会社である株式会社ROPIAグループを通じて、ロピアの全株式を取得させていただきました」
ロピアの収益構造を抜本的に改革 ―― 吉田社長がロピアの経営に関与されるまでのご経歴をお聞かせください。
■吉田 直哉(よしだ・なおや) 1993年大学卒業後、ファッションビル業態のビブレに入社。店舗全体の営業企画を経験。2001年に楽天に入社し、西日本営業部部長、東京本社の営業第二本部本部長を歴任した後、台湾楽天市場の取締役事業部門長として出向。2012年に寿スピリッツ傘下の小樽洋菓子店舗ルタオを運営するケイシイシイに入社し、ダイレクトマーケティングの責任者として実績をあげた後、2015年に同社の代表取締役社長に就任。2017年にロピアの代表取締役社長に就任、2023年から株式会社COMMEPARISの代表取締役社長も兼任。 ■小森 一孝(こもり・かずたか) 慶応義塾大学経済学部卒業。ミシガン大学ロスビジネススクールにてMBA取得。 1990年に東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に入社し、金融事業戦略の企画・立案及び資産運用・ALMの企画業務に従事。2002年3月より東京海上キャピタル(現ティーキャピタルパートナーズ)に参画し、小売・流通・サービス業を中心に、大企業グループのカーブアウト案件から事業承継に係る案件まで幅広く主導。2019年10月にマネージング・パートナー、2020年3月に取締役に就任。