[Webインタビュー]

(2013/04/17)

【第24回】私がM&A小説を書いた理由(わけ)

 堀内 秀晃(GEキャピタル エグゼクティブディレクター コーポレートレンディング部長)
  • A,B,C,EXコース

「もっとわかりやすく」の読者の声に応えて

――堀内さんが書かれた『ステークホルダー 小説 事業再生への途』(一般社団法人金融財政事情研究会。2012年2月刊)がM&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』を受賞しました。この小説は、メーンバンクである邦銀の銀行員の視点から、取引先企業が買収した米国企業をどのようにして事業再生し、企業価値を向上させた上で売却したか、そのプロセスを活写したものですが、この小説をかかれた動機にはどのような背景があったのですか。

 「2011年2月に『アメリカ事業再生の実務』という専門書籍を西村あさひ法律事務所の森倫洋弁護士、宮崎信太郎弁護士、柳田国際法律事務所の柳田一宏弁護士と出版しました。その本を読んだ知人から、具体的な例を取り上げてわかりやすく解説してほしいという声が寄せられたのです。そうした声にお応えする方法として、一つはマンガ、もう一つは小説があるなと思ったのですが、私は絵が下手だったので(笑)小説にしたというのが正直なところです。小説にすることでより具体的になりますし、小説に登場する人物の描写を通じていろいろなステークホルダーがどういうことを考えて行動しているのか、どういうことに思い悩むのか。そういうことがわかりやすくなるのではないかと考えたわけです。

 ただ一方で、米国での事業再生に関する解説本としての特徴も残しておかなければなりません。とは言っても、いちいち解説をストーリーのなかに入れていくと小説がものすごく長くなったり、全体に解説調になってしまったりしますので、専門的な解説についてはコラムとしてコンパクトにまとめるという形にしました。したがって、読者のなかでストーリーのみに興味のある方はコラムを読み飛ばしていただければいいし、専門的な知識を期待される方はコラムまで熟読していただくという2つの読み方ができるように工夫しました。

 それと、小説にした動機にはもう一つの理由があります。専門書の場合は、自分が主張したい説の他に、この説に対してはこういう反対説があるというように客観性に重きを置かなければなりませんが、小説の場合は自分が主張したいことを登場人物に語らせたり、ストーリーの中に織り込んでいくことができるというメリットがあると考えたからです。したがって、ある特定のモデルケースをそのまま小説に落とし込むのではなく、いろいろな倒産事件、私的整理事件を小説の各場面に使うことによって、一般的にはだいたいこのような形で進行することが多いという筋立てをメーンストーリーにするように心がけました」

5カ月で書き上げた処女作



<2013/04/30締切>第7回 M&Aフォーラム賞 応募作品 募集中!!

 
 

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