[Webインタビュー]

(2014/01/29)

【第33回】「2013年度ベンチャーキャピタル等投資動向調査結果(速報)」について

 市川 隆治(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター 理事長)
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「ベンチャー白書」の刊行も

―― 先ごろ、ベンチャーキャピタル(VC)による投融資状況に関する調査結果を発表されました。その概要を中心にお話をうかがいたいのですが、この調査はいつごろから実施しておられるのですか。

 「私ども、一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(Venture Enterprise Center、略称:VEC)は、日本のベンチャー企業の発展を支援するために1975年に経済産業大臣(旧通商産業大臣)の認可を受けた団体として設立されました。設立以来、ベンチャー企業の資金調達のための債務保証事業を中核的な事業として活動してきたのですが、この事業は01年度に終了しまして、その後12年4月1日には一般財団法人に移行しました。実は、債務保証の業務は01年に終了しましたが、債務保証の事業をやるかたわら83年度から投資動向調査も始めていたのです。現在はベンチャーキャピタルの投資動向調査等の『調査・情報提供』のほか、特定の課題に関する調査研究を通じた『政策提言』、起業家と支援者の交流を促進するための『起業環境整備』や、『資金調達支援事業』等の起業支援事業活動を行って、意欲のあるベンチャー企業の創出と発展を支援することがメーンの業務になっております。

 先ごろ発表しました『ベンチャーキャピタル等投資動向調査結果』は最新の数字をまとめたものですが、これにインタビューや分析を加えて『ベンチャービジネスに関する年次報告』、いわゆる『ベンチャー白書』を毎年、年頭に刊行しています」

シード、アーリー投資が主流に

―― 今回の調査の概要を教えていただけますか。

 「発表しました調査は、12年4月から13年3月末までの期間のVCによるベンチャー企業への投融資状況について調査を行ったもので、13年7月から13年9月までの調査期間に90社から回答を得ました。

 まず12年4月から13年3月末までの間に行われたVC等によるベンチャー企業への投融資額(図表1)は1026億円、投融資先数は824社でした。これは11年度に比べると投融資額で17.3%の減少、投融資先数は19.0%の減少となっています。本調査においては06年度(投融資額2790億円)以降、07年度(1933億円)から3年連続で投融資額は減少し、リーマンショックの翌年度の09年度には1000億円を割り込んで875億円にまで落ち込みました。その後10年度以降11年度まで緩やかな回復をしてきましたが、12年度は再び減少したことになります。リーマンショック以降ファンドの組成環境は厳しく新規投資資金確保が容易ではなかったこと、リーマンショック以前に組成されたファンドを原資とする投資は11年頃までにほぼ実行されてしまったこと、ベンチャー投資を行うVCの数の減少等が要因としてあげられると思います。

図表1 年間投融資額の推移




 次に新規ファンドの設立(図表2)についてですが、これも12年度は新規ファンドの設立が26本、組成金額で1036億円と11年度と比べると本数では5本減少、ファンド組成金額で13.5%減少しました。こうした中で、中小企業基盤整備機構からのファンド出資額は11年度同様に、大きな存在感を示しています。

図表2 ファンド総額、ファンド組成数、ファンド組成金額の推移



 

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