1. M&A仲介協会発足の経緯 インフラとして『M&A』の整備の必要性が高まっている ――
M&A仲介協会が2021年10月1日に発足して1年半、幹事会員の1社であるストライクの荒井邦彦社長が代表理事に就任されて1年が経過しました。まず、発足の経緯について教えてください。
「経営者の高齢化問題に加え、生産年齢人口の減少により、国内需要の減少による経済規模の縮小、労働力不足が深刻な問題となっています。当然経営者も人手不足になっているわけで、現実に廃業件数が増え、その廃業の中身も黒字廃業が目立つ状況になってきています。廃業が増えると、それに伴う経済的な損失は大きなものとなります。これを抑えるためには、第三者に事業を引き継ぐ『M&A』の手法が事業承継の選択肢の1つとして重要であり、インフラとして『M&A』の整備の必要性が高まっていると認識しています。
中小企業庁は、2019年12月に『
第三者承継支援総合パッケージ』を策定し、2021年4 月には、中小M&Aを推進するため今後5年間に実施すべき官民の取り組みを『
中小M&A推進計画』として取りまとめました。この中で、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)において、M&A支援機関の登録制度を創設し、M&A 支援機関の活用に係る費用の補助については、予め登録された機関の提供する支援に係るもののみを補助対象とすることとしました。本登録制度は、
ファイナンシャルアドバイザー(FA)業務または仲介業務を行う者に限って対象としており、
■荒井 邦彦(あらい・くにひこ)
一橋大学商学部卒業後、太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に公認会計士として入社。仕事の中で出合ったM&Aのダイナミックさに惹かれ、この領域での起業を決意する。1997年に株式会社ストライクを設立し代表取締役社長に就任。以来、数多くのM&Aを成約に導いてきた。2016年6月に東証マザーズに株式上場、2017年6月に東証一部(現東証プライム市場)へ市場変更。近年はベンチャー企業のM&Aにも取り組んでおり、出口戦略としてのM&Aが増えることにより、ベンチャー企業のすそ野が広がることで日本経済に活力が出ると期待している。2022年3月、一般社団法人M&A仲介協会の代表理事に就任、現在に至る。