[Webインタビュー]

(2017/03/29)

【第81回】【CITICキャピタル・パートナーズ・ジャパン】3号ファンド300億円の投資戦略を語る

 中野 宏信(CITICキャピタル・パートナーズ・ジャパン 日本代表)
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日本企業を対象とするバイアウト・ファンド

―― シティック・キャピタル・ホールディングス(CITIC Capital Holdings Limited :中国名「中信資本」 本社:香港 以下CITICキャピタル」)のプライベート・エクイティ(PE)部門であるシティック・キャピタル・パートナーズ(CITIC Capital Partners Limited)は、日本企業を投資対象とする3号目のバイアウト・ファンド、CITIC Capital Japan Partners III, L. P.(以下3号ファンド)を投資枠上限の300億円の規模で2017年1月クロージングしました。まず、ファンドの運営会社であるCITICキャピタル・パートナーズ・ジャパンについて説明してください。

「CITICキャピタル・パートナーズ・ジャパンは、香港に本社を置くCITICキャピタルが運営しているPEファンドの中で、中国ファンド、米国ファンドと並んで日本企業向けのバイアウト・ファンドの運営会社として04年に設立されました。

 CITICキャピタルが属するCITICグループは中国政府系金融コングロマリットですが、もともと鄧小平・元主席が1979年に中国経済の改革開放政策を進めるにあたって旗印としてつくった会社です。そういう意味ではスタート時点から中国でも非常にユニークな存在と言えます。政府系でありながら資本主義的な性格が強く、しかも他の中国企業と比べるとグローバルな事業展開をしているのが特色です。その孫会社がCITICキャピタルということになりますが、非常に戦略的な、ある意味ではCITICグループの今後の事業展開の先頭を走るような会社といっていいと思います。

 実際、CITICキャピタルはそのスタートからグローバルなビジネス展開をしていまして、アセットマネジメント会社としてまず米国ファンドを組成し、その後日本でファンドを組成、最後に中国でファンドを組成するということで、海外のファンド組成からスタートしたという点でもユニークな存在といえると思います。我々が担当しているPEファンド以外にも不動産のファンドがあって、こちらは香港、中国を中心に投資していますが、いずれも世界中の機関投資家がお客様になっています。

 日本ファンド(CITIC Partners Japan)はこれまでに、04年に1号ファンドが約170億円で設立され、10年にはファンド規模約180億円の2号ファンドが設立されています。中国の有数の産業・金融コングロマリットであるCITICグループの経営資源・ネットワークを活用して、中国およびアジア市場を中心にグローバルな観点から日本企業が海外展開や海外の経営要素を一層活用できるような支援を行うことができるということが強みです。

 CITIC Groupの存在があまりに大きいので、CITIC Groupの意向が投資活動に反映されているのではないかと誤解されがちですが、実際は、資金は第三者の機関投資家から預かっていまして、投資の意思決定は、我々のチームが100%行っております」

12社へ投資、5社がエグジット

―― これまでにどのような企業に投資しているのですか。

「1号ファンドでは、シンワ・インターナショナル・ホールディング・リミテッド、ポッカコーポレーション、鳴海製陶、伸和精工の4社。2号ファンドは、東山フィルムトライウォールポリマテックモリテックスの他、メガネの有名ブランドの小売企業の5社に投資しました。このうち、シンワ・インターナショナル、ポッカコーポレーション、鳴海製陶、東山フィルム、トライウォールはエグジット済みです。

 さらに3号ファンドについても、既に投資をはじめておりまして、1号案件はレディースアパレルブランドのMARK STYLER Co., Ltd.で、日本全国に170以上の店舗を持ち、e-commerceサイト“RUNWAY Channel"を展開しています。この国内ビジネスの更なる強化に加え、中国市場でのビジネスを成長ドライバーにしようとしています。2件目は婦人靴小売専門店のアカクラです。民事再生手続きを経て当社がその再成長に向けた再生のお手伝いをしています。3件目はヘルスケア分野で検査関連製品を製造する事業会社に投資を致しました。同社は同分野における有数の企業の一社で、中国およびアジア市場の潜在的可能性に着目し、これら海外市場で大きく事業を拡大させることを目指しています」



変化する日本企業の中国市場進出の課題

―― 日本ファンド設立以来12年の間には、日本企業の中国市場に対する取り組みにも変化があったと思いますが。

「マクロの基調で言えば…


 

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