[特集インタビュー]
2013年10月号 228号
(2013/09/15)
ポラリス・プリンシパル・ファイナンスから経営を託されて
「NOPの主力製品である工作機械向けの冷却油用ポンプは、優れた技術がないと造れないキーデバイスです。したがって景気が回復すれば業績も戻ることについてはポラリスも自信を持っていました。しかし、景気回復と共に元の状態に戻るのではなく、これを機会に以前よりもいい会社にしてほしいということで私が相談を受けました。私が引き受けた理由は、元々私が製造業を好きだったということもありますが、この会社の内容を見た時に、開発・製造・販売というすべてのバリューチェーンを持っていたことに魅力を感じたからです。こういう企業は、改革をすべきポイントがたくさんありますから、成長余力があると直感しました」
「大学は理工系を出ましたから、とにかく大きなシステムをつくる職業に就きたかったのです。人類が築いた最大のシステムというのは電力システムであると思いまして、巨大なプラント、巨大なシステムをつくる夢を抱いて東京電力に入りました。しかし入社後、エンジニアだけをやっていても満たされないものを感じるようになりました。そんな折、東京電力の社内の留学制度に応募しまして、MBAを取る機会を与えられたのです。それを機に本気で経営について学びたい、ということで米系の戦略系経営コンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループに移ったわけです。コンサルタントとしての7年間は非常に勉強になりましたし、私としても満足だったのですが、実践を積むことが必要だと思いまして、ボストン・コンサルティングの大先輩である三枝さんをお訪ねしたのです。三枝さんは実際に企業に入り、会社を大きく変えておられた。それは当時の私からすると非常に理想的に見えたのです。三枝さんはちょうどミスミから経営を負託されていました。それで『君も来たいなら来い』と言っていただきまして。三枝さんがミスミの社長に就任されるのとほぼ同時に、ミスミに入りました。
三枝さんから学んだことは、一言で言えば経営の全てです。当時の私に欠けていたことで、今でも非常に役に立っていることは、人の動かし方だと思います。人を動かすには、自分自身が熱くならなければいけない。現場に入ってすべてを理解したうえで、系統だって仕組みをつくることの大切さを教えていただきました。それは時に厳しい指導でした。ただ今思えば、それがすべて私にとっては血となり肉となっていますので、非常に感謝をしております。その後、経営に必要な様々な選択肢を持っていることが重要だ、ということに気づきまして、かなり悩みましたが、金融の世界に入ってみようと考えてプライベートエクイティ・ファンドであるMKSパートナーズの松木伸男代表取締役と一緒に仕事をすることにしました。三枝さんから様々学んだことを実際に株主の立場でMKSのポートフォリオカンパニーのバリューアップに生かしたのです。しかし、08年MKSパートナーズが総額約600億円の傘下のファンドを解散する意思決定をしまして、私を含めて3人のパートナーが最後の片づけをして、『さてどうしようかな』と思っているところにポラリスからこのお話をいただいたわけです」
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