[特集インタビュー]

2014年6月号 236号

(2014/05/15)

日本オイルポンプ――仏投資会社ウェンデルの下で一段上のグローバル成長戦略を実現する

 中尾 真人(日本オイルポンプ 代表取締役社長)
 川田 真(ウェンデル ジャパン 代表取締役社長)
  • A,B,EXコース

中尾 真人氏

  ポラリス・キャピタル・グループ(以下ポラリス)が運営するポラリス第二号投資事業有限責任組合保有の日本オイルポンプ(以下NOP)の全株式が2013年12月、フランスの上場投資会社 WENDEL(以下ウェンデル)へ譲渡された。

  NOPは、1980年設立(創業1919年)。主力製品は「トロコイドポンプ」という主に工作機械等の冷却・潤滑用油に使われるポンプである。特に冷却油の温度調節器向けのシェアはグローバルで70%以上、国内ではほぼ100%というニッチトップの老舗メーカーだ。04年にインテグラル・インベストメント及び日本プライベートエクイティが運営するMBOファンド「TAKUMI1号投資事業有限責任組合」及び「TAKUMI2号投資事業有限責任組合」(以下、総称して「TAKUMI継承ファンド」)がNOPの経営権を取得、その後08年3月ポラリスが運営するポラリス第二号投資事業有限責任組合がTAKUMI継承ファンドからNOPの発行済み株式の100%を取得、新たな成長を目指してきた。

  今回NOPを買収したウェンデルは、ヨーロッパ最大級の上場投資会社の1つである。

  本インタビューでは、NOPの中尾真人社長とウェンデル ジャパンの川田真社長にご登場いただき、ウェンデルによるNOP買収の経緯、また今後の成長戦略をどう描いているのかについてインタビューした。

  まず、NOPの中尾社長は、ウェンデルの傘下に入ったことについてどのように受け止めているのだろうか。

「当社の成長性を買ってほしい」

中尾 「ウェンデルについては、以前から知っておりました。ただ具体的にコンタクトを持ったのは13年の夏からです。ポラリスが弊社を買収したのは08年ですから、PEファンドとしては、そろそろイグジットの時期を迎えていたわけですが、NOPの次の株主の条件については私の中では明確に決まっておりました。第1に、新たなPEファンドが買収して3年~5年の間にまた転売をするということでは、製造業として今後の長期ビジョンの下での成長戦略を描きにくいから避けてほしい。第2に、長年にわたって築き上げてきたNOPという名前が無くなるというのも好ましくない。従って、ブランド並びに経営の独立性が守られることが望ましい。結果、ウェンデルに決まったわけですが、私どもの条件が幸いにも全て叶ったと思っています。

  実際に交渉にあたっては、私はこの会社の成長性を買ってほしいということをウェンデル他の株主候補に常に主張してきました。この会社の将来性を理解していただく上で1つのポイントとなるのは、新製品です。ボルテックスという製品がそれですが、この価値がどれだけあるのか客観的に評価していただくために、例えば業界の方々に会っていただくということも行ってボルテックスの価値を正当に理解していただくようにしました。実は新製品はボルテックスだけではありません。現在開発中の新製品があるのですが、そういった我々のモノづくりのユニークさをきちんと理解していただくことに注力しました」
 

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