[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2023/10/24)

「チョコザップ」躍進にみるフィットネスクラブ業界の構造変化 -巨大な潜在需要を狙った異業種間M&Aが活発に

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
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フィットネスクラブ市場は8割まで回復

 飲食業や宿泊業とともに新型コロナウイルス禍で大打撃を受けたのがフィットネスクラブ業界である。フィットネスクラブは感染リスクの高い施設として営業自粛要請などが相次いだ。2022年に倒産したフィットネスクラブ運営会社は27件で、前年の9件から大幅に増加した(帝国データバンク調べ)。

 21年を底に徐々に持ち直し、23年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことでフィットネスクラブの利用者と売上高は急速に戻りつつある。特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)では、フィットネスクラブの売上高はコロナ禍前(19年平均)の8割以上まで回復している(図表1)。

図表1 フィットネスクラブの売上高推移
図表1 フィットネスクラブの売上高推移

新たな成長ステージを予感させる「チョコザップ」の躍進

 足元のフィットネスクラブ市場の回復をどうみるべきか。コロナ禍前の状態に戻っていく循環的な動きと捉えるべきか(①)、それともフィットネスクラブ業界の構造変化に伴う現象と捉えるべきか(②)によって今後の景色は大きく変わる。前者ならコロナ禍前の水準が1つの着地点となるが、もし後者ならフィットネスクラブ市場はコロナ禍前の水準を超えて新たな成長ステージに向かう可能性が高い。後者を予感させるのが、今話題のコンビニジム「チョコザップ(chocoZAP)」の躍進である。

-1年余りで業界トップ

 チョコザップはRIZAPグループが運営する低料金の24時間セルフ型ジムである。料金は月額2980円(税抜き)と、一般的なジムの半額程度。運動初心者で扱いやすい簡単なトレーニングマシンを設置し、セルフ式のネイル、マッサージ機、脱毛マシンを導入するなど、従来のジムにはない手軽さで幅広いサービスを提供する。2022年7月にスタートしたチョコザップの会員数は23年9月時点で83万人と、わずか1年余りで業界トップに躍り出た(図表2)。...

■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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