キリンホールディングス(以下、キリンHD)は2024年6月14日に健康食品大手であるファンケルを
完全子会社化すると発表した。キリンHDは19年の資本業務提携で32.5%を出資しており、ファンケルは持ち分法適用会社だった。今回、約2200億円を投じて
TOBを実施、年内にもファンケルを完全子会社化する見通しである(完全子会社化に伴い、ファンケルは上場廃止)。
5年の歳月をかけて、キリンHDはファンケルを取り込むことになったが、キリンHDがこうした動きに出た最大の理由は今後ビール市場が世界的に伸び悩むとの危機感だろう。例えば、インドの調査会社であるIMARC社によると、世界のビール市場は24~32年にかけて年率2%以下の成長が見込まれており、成長率は過去ほど高くない。一方で、世界の健康食品市場は23年までの5年間で20%程度成長(年平均では4%程度)しており(英調査会社ユーロモニター社調べ)、ビール市場の成長速度に比べて優位にある。実際、キリンHDはヘルスサイエンス事業を成長のドライバーにしていく方針を打ち出しており、今後10年以内に同事業で売上収益5000億円を達成したいとしている(23年度現在で1034億円)。