[M&Aスクランブル]

(2016/01/06)

2016年のM&Aを占う師走のトピックス

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 2015年の日本のM&Aは、件数で2428件、6.3%増、金額で15兆7761億円、68.3%の大幅増と、活況だった。特に、日本企業の海外M&A(IN-OUT)は、560件、11兆2585億円と件数・金額ともに過去最高を更新した。海外に成長を求める日本企業の姿がより顕著に浮き彫りになった1年といえよう。

 そうした中、昨年12月は、2016年のM&A動向を占ううえで示唆となる事例が目についた。4つのトピックスをピックアップしてみたい。

ブリジストンに見る「やらない勇気」

 先ず、年末ぎりぎりまで気を揉ませた、ブリジストンと米国の著名投資家カール・アイカーン氏との、米ペップ・ボーイズ-マニー・モー&ジャック(以下、「ペップ・ボーイズ」)へのTOB合戦は、アイカーン氏側の勝利に終わった。ブリジストンによる友好的なTOB(1株15ドル:8.35億ドル)に対してアイカーン氏側が1株15.5ドルで追っかけTOBによる買収提案を表明して以来、TOB価格の引き上げ競争で、15.5ドルから16.5ドル、17ドルへ。そしてアイカーン氏側の18.5ドル(10.31億ドル)の提案に対して、ブリジストン側は価格の再引き上げを断念して、年末の30日にアイカーン氏側とペップ・ボーイズとの買収契約締結の公表に至った。会社がFor saleの状態になった場合、取締役は最高の売却価格を実現すべしという米国のレブロン基準が具現化する結果となった。ペップ・ボーイズは米大手自動車用品小売りチェーンで米国とプエルトリコに800店舗を有する。ブリジストンは米国での小売店網を35%程度拡充できるとしていたが、米国販売網の拡充戦略の練り直しを迫られた格好だ。ただ、米国の一部報道では、アイカーン氏側は、15年6月に買収した自動車部品とサービスチェーンのオート・プラスとのシナジーが狙いであり、ペップ・ボーイズのタイヤ事業などをブリジストンに売るかもしれないと予想する向きもあり、予断は許さない。

 さて、ここで注目したいのは・・・

 

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