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(2016/05/02)

セブン&アイホールディングス、鈴木氏退任、カリスマを失った新経営陣が背負う課題

 マール企業価値研究グループ
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 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文代表取締役会長最高経営責任者(CEO)が5月26日開催予定の株主総会での承認をもって退任することになった。セブン&アイ・HD社長にはセブン‐イレブン・ジャパン社長の井阪隆一氏が就任する。鈴木氏は、天性の勘と既存の小売業の枠にとらわれない発想と戦略で、日本の流通業に大きな変革を起こした。鈴木氏退任後のセブン&アイグループを「スティーブジョブスを失ったアップルと重なる」と話す関係者がいるが、これからセブン&アイグループはどこに向かうのか。

カリスマ経営者

 鈴木氏は常々、「お客様が何を考えているのか、どうしたら対応できるのかを考えて商品を開発するのが我々のあり方」と語り、従来の日本の商習慣を全て破りながら、日本発の新しいコンビニエンスストアのシステムを作ってきた。新しいことへの挑戦の連続がセブン-イレブンの歴史だった。

 セブン-イレブンは、同じコンビニ業界でも商品戦略を決めたら末端の店まで徹底させる力があり、公共料金の集金代行業務を行うなど時代や顧客ニーズの変化に機敏に対応してきた。「第三の創業」として銀行業にも参入した。銀行業は、店舗外現金自動預け払い機(ATM)の設置コストに悩む地方金融機関のニーズを取り込み、ATM網の構築を助け、保険会社、証券会社のサービスも提供した。提携先金融機関から得る手数料収入を収益基盤とすることで、銀行ビジネスをインフラ化し、薄利が常態の小売業を大きく変革させた。こうした強みは、ローソンやファミマなど銀行免許を持たない競合他社では実現できないもので、セブン一人勝ちの盤石な体制は当面、揺るがないだろう。

次の成長戦略

 鈴木氏がコンビニエンスストア、銀行事業に続いて・・・

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