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ポイント>
〇アパレル業界は「二極化」が鮮明に。今後再生案件・事業承継案件が増える可能性が高い
〇DBJとワールドは、種類株「トラッキング・ストック」を活用し、アパレル関連企業等を支援する
〇投資件数は年に1件程度を予定、企業規模は1桁億円前半から数十億円以上まで柔軟に対応
〇2社間でのみ株主となるケースや大企業CVCならば、
トラッキング・ストックの活用は有効。呼び水となり、TSの活用が広がる可能性も
投資会社「W&Dインベストメントデザイン」の機能
総合ファッションアパレル企業の「ワールド(WORLD)」と日本政策投資銀行(DBJ)は3月31日、ワールドグループの「ワールドインベストメントネットワーク」とDBJで折半出資して設立したファンド運営会社である「W&Dインベストメントデザイン(以下「W&DiD」)」を、自己資金での投資を行う投資専門会社とすることで合意した(図表1)。新たな投資専門会社を通じて、アパレル・ファッション業界の企業再生、事業承継支援を目的とした企業投資に取り組んでいく。
【図表1】投資会社「W&Dインベストメントデザイン」の会社概要企業名 | 株式会社W&Dインベストメントデザイン(W&DiD) |
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代表取締役 | 田口 敬二郎(ワールド) 本松 真一 (DBJ) |
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所在地 | 東京都港区北青山三丁目5番10号 |
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株主 | 株式会社ワールドインベストメントネットワーク > ワールド100%子会社(WIN) 株式会社日本政策投資銀行 > 政府100%出資(DBJ) |
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設立 | 2017年7月 |
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ワールドとDBJは2017年7月、W&DiDを無限責任組合員(GP)とするLPS(投資事業有限責任組合)形式の共同運営ファンド「W&Dデザイン投資事業有限責任組合(W&Dファンド)」を組成し、この6年間で5社に投資を実施した(図表2)。投資先企業の再生後にワールド本体が投資先企業を買収する事例も出ている。
【図表2】ワールドとDBJによる企業投資の歴史
【図表3】ファンド形式を改め自己資金での投資を行う投資専門会社にする
図表3の通り、これまでのファンドの投資では、DBJとワールド以外からも有限責任組合員(LP)となる投資家を募り、「W&Dファンド」が企業に普通株による投資をするという手法を採用していた。しかし、今後はW&DファンドのGPであったW&Dインベストメントデザイン(W&DiD)が直接普通株投資をするスキームに改める。W&DiDの株主は、ワールドの100%子会社である「ワールドインベストメントネットワーク」とDBJの2社のみだ。
事業面で強みを持ちながらも過剰債務等に苦しむコンシューマー企業を対象とした投資に取り組む。投資の件数は年に1件程度が目処。また、過去の支援事例では、1社あたり十億円程度の投資が多かったが、今後は、1桁億円前半から数十億円以上まで柔軟にカバーする。
ワールドとDBJは、W&DiDを通じて対象企業の株式を取得し、W&DiDによる配当や
自己株式取得として投資先の配当益や株式売却益を得る。再生後の
エグジットについては、ワールドによる買収や他社への売却など、様々なパターンが想定されるという。
トラッキング・ストックの活用に新しさ