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2020年6月号 308号

(2020/05/19)

「M&A投資枠発表」の奥に何があるか?

清水 勝彦(慶応義塾大学 大学院経営管理研究科 教授)
 「M&A投資枠1000億円増額 リクルートHD、成長加速」(日本経済新聞2019年5月22日)。クロスボーダーM&Aの重要性が世界的に高まる中、日本市場の成熟化を背景に、2000年代後半からこうした「M&A投資枠」を発表する企業が増えてきた。

 一方で、投資枠を発表した大手企業の経営企画部に聞くと「特段意識していない」といわれたり、「投資家向けの花火ではないか」という声も聞く。もしそうだとすれば、約束が守られなかったときに信頼を失うのではないか?という疑問もわく。実際、欧米のM&Aの研究者に問い合わせてみると、M&Aの投資枠を公に発表するのは聞いたことがないという。2014年のウォールストリートジャーナルの記事では、多額の資金調達をしたアリババに対して、その資金でM&Aをするのかと聞かれた当時の役員が「予算消化が目的になってしまうから、M&A予算は作らない」と明言している。

 こうした現状を踏まえ著者と九州大学の内田大輔准教授は3年にわたり研究を続けてきた。具体的には、次の2つのリサーチクエスチョンに対して2004年から2017年にわたり、東証の株価指数TOPIX1000の算出対象1000社のうちデータの取れた895社について検証した。うち、M&A投資枠を発表したのは92社である。

(1)信頼を失うリスクがありながら、M&A投資枠の発表をわざわざする企業にどのような特徴があるのか?
(2)M&A投資枠を発表することで、短期的そして中長期的にメリットはあるのか?

 M&A研究というと、戦略的に見た成功失敗、あるいは財務的なインパクトや株式市場の評価が注目を浴びるが、経営者のエゴや市場との駆け引きといったより「人間臭い面」についても世界的には1980年代から研究がなされている。我々の研究ではシグナリング効果、そして印象操作(インプレッションマネジメント)という行動理論(behavioral theory)的視点から「M&A投資枠」について読み解いた。

 我々が特に注目したのは、

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