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[寄稿・寄稿フォーラム]

2020年12月号 314号

(2020/11/16)

Withコロナにおけるリストラクチャリング・事業再生局面のM&A

石田 渉(森・濱田松本法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士)
はじめに

 新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」という。)の感染拡大による事業環境の一変により、多くの企業が事業構造の抜本的見直しを迫られている。

 日本はここ数年緩やかな景気回復基調にあったが、新型コロナ以前から、事業ポートフォリオの変革を目的とする「事業再編型」M&Aは増加傾向にあった。これに加え、新型コロナの感染拡大以降は、より再生色の強いM&A(ここでは、「リストラクチャリング局面のM&A」と呼ぶ)が増加しつつある。レコフデータによると、本年1月~8月期の破綻関連M&Aは前年同期より約13.6%増加しており、事業再生局面にある企業のM&Aが目立ってきている。また、金融支援を前提とする法的整理私的整理手続に突入する前段階の企業(そこまで財務・資金繰り状況が悪化していないアーリーステージ)においても、中長期的にみて現体制での事業継続に懸念が生じている等の理由から、事業リストラクチャリングの一環として、事業の売却等を検討する場面が増加してきており、新型コロナを契機とする事業再編・ロールアップの動きが活発化することも予想される。

 このような「リストラクチャリング局面のM&A」の場合、時間の経過により資金・財務状況が悪化していく(風評被害・顧客離れ・人材流出等)という特殊性もあり、スケジュール・DD・契約交渉・従業員対応・対外公表等について、通常のM&Aとは異なる対応が必須となる。また、売り手側が法的整理や私的整理手続に至っている場合、当該手続のルール・スケジュール等に沿った対応も当然必要となる。

 本稿では、売り手側の業績・財務状況悪化の度合いに応じ、4つに局面を分類した上で、各フェーズにおけるM&Aのポイントを解説する。


「リストラクチャリング局面」とは

 「リストラクチャリング局面」と一言で言っても、対象会社の資金・財務・業績の状況や売り手側の思惑により、その内容は大きく異なる。

 本章では、事業の売り手側(事業再生における債務者側)の視点に立ち、売り手の資金・財務状況の悪化の度合いに応じ、(1)事業再編の一環としての低収益・非基幹事業の切り出し、(2)リストラクチャリング(アーリーステージ)、(3)私的整理手続、(4)法的整理手続の4つに分けて説明する。

(1) 事業再編の一環としての低収益・非基幹事業の切り出し

 1つ目は、事業ポートフォリオ見直しの一環として、事業の一部を売却・切り出す局面である。

 このフェーズでは、売却対象となる事業の資金繰り・財務状況に著しい悪化はまだみられないものの、売り手側の中期的・長期的事業戦略上、経営資源を他の成長事業や高収益事業に集中させるため、低収益・非基幹事業を切り出すというケースが想定される。

 なお、売り手側がリストラクチャリング局面にあるか否かに関わらず、事業の一部を切り出すカーブアウトM&Aにおいては、スタンドアローン問題(注1)等の通常のM&Aとは異なる準備が必要となる(この点は、リストラクチャリング局面特有の問題ではないため、本稿では詳細は割愛する)。

(2) リストラクチャリング(アーリーステージ)

 2つ目のリストラクチャリング(アーリーステージ)の局面では、後記(3)及び(4)のように金融支援(リスケジュールや債権放棄等)まではまだ必要なく、当面の資金繰りも確保されている。しかし、



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