1913年に松島炭鉱株式会社として創業した三井松島ホールディングス(三井松島HD)は2024年11月、保有していた海外炭鉱の全権益の譲渡を完了し、祖業の石炭事業から完全撤退した。
一方で、同社は近年、M&Aによる新規事業の拡大に注力してきた。2014年の日本ストロー買収以降、グループ会社を含め10件以上のM&Aを実施、脱石炭を果たした。2025年3月期の親会社株主当期純利益は86億4500万円を計上した。
M&Aアドバイザーから同社に転じ、2020年から代表取締役社長を務める吉岡泰士氏に、三井松島HDのM&A戦略の詳細を聞いた。
事業会社のあるべき姿を追求し、M&Aによる新規事業参入を開始
―― 三井松島HDがM&Aに取り組む背景を教えて下さい。
「当社は松島炭鉱(長崎県)の採掘事業を発祥としており、近隣の大島炭鉱、池島炭鉱へと採掘の中心を移した後、2001年の池島炭鉱閉山をもって国内炭鉱からは撤退、その後は32.5%を出資するオーストラリアのリデル炭鉱で石炭事業を続けてきました。
■吉岡 泰士(よしおか・たいし)
大学卒業後、JPモルガン証券東京支店(現JPモルガン証券)、デロイトトーマツFAS(現デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)、GCA(現フーリハン・ローキー)などでM&Aアドバイザリー業務に従事。2013年7月、三井松島産業(現三井松島ホールディングス)入社。経営企画部長、常務執行役員などを経て、2020年6月、代表取締役社長に就任。