[Webマール]

(2025/08/05)

RevPAR向上とコスト最適化の二兎を追う、PEファンド流ホテル企業価値最大化のフレームワーク

松尾 航平(PwCコンサルティング合同会社 ディレクター)
榊原 崇智(同)
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PEファンドなど投資家によるホテル投資が活性化しつつある。2024年の日本全国における販売可能客室1室当たり収入(RevPAR)は、2019年比+29.8%で推移、訪日外国人旅行者の急増もあり、需要は堅調である。本稿では業界を取り巻く環境変化を踏まえ、ホテルのバリューアップにおける実務上の課題を整理し、トップライン向上策としてのレベニューマネジメント、コスト最適化に向けた業務標準化施策に着目し、ホテル価値を引き上げる再現性ある手法とその実行課題に迫る。
ホスピタリティ業界を取り巻く足元の環境

 観光庁の「宿泊旅行統計調査」によれば、2024年の国内の延べ宿泊者数は6億5000万人泊(2019年比+9.1%)と、2023年に引き続き過去最高を記録した。日本人の宿泊需要が弱含んでいる一方で需要をけん引するのがインバウンド需要である。2024年の訪日外国人延べ宿泊者数は全体の1/4を占める1億6400万人泊(2019年比+41.4%)に、訪日外国人旅行者数(JNTO調べ)は推計3687万人(2019年比+13.5%)に達し、共に過去最高を記録した。日本政府が訪日外国人観光客数の目標値を「2030年時点で年間6000万人」と定めている中、2025年1月-5月期(速報値)は約1800万人(前年同月比+23.9%)と年間4000万人の大台達成も見えてきており、引き続き需要は堅調に推移していることがわかる。


■筆者プロフィール■

松尾 航平(まつお・こうへい)

松尾 航平(まつお・こうへい)
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
外資系資産運用会社、日系戦略コンサルティング会社を経て現職。ファイナンス、PEファンド領域を中心に、数多くの戦略案件を担当している。主にグローバルPEにおける国内投資案件(製造業、不動産など)について、Day 1からのValue Creation業務に従事。また、グローバルPEにおけるビジネスデューデリジェンスやコスト削減余地を検証するオペレーションデューデリジェンスも多数経験。

榊原 崇智(さかきばら・たかとも)

榊原 崇智(さかきばら・たかとも)
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
ベンチャー・キャピタル、政府系再生ファンド等において投資からターンアラウンド、企業価値向上、Exitまで、投資プロフェッショナルとして従事した後に現職。現職ではPEファンドや外資系企業による日系企業の買収・統合案件を中心に、デューデリジェンスからPMIまで、M&Aに関連するアドバイザリーサービスを提供。

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