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[企業変革手段としてのM&Aの新潮流]

2021年10月号 324号

(2021/09/15)

第5回 M&Aをデジタル変革のドライバーとして活用する

堀 佳介(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 パートナー)
飯塚 良(デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー)
植田 敦(デロイト トーマツ コンサルティング マネジャー)
1. After COVID-19を見据えたM&A市場の急拡大がディールを「せっかち」にしている

 まず下図をご覧いただきたい。昨年(2020年)1年間に世界で実行されたM&Aの規模の月次推移である。世界は昨年3月頃から一斉にロックダウンに入ったが、その解除後の6月以降、実行額が急増していたことがわかる。結果、昨年1年間での総実行額は3兆ドルにせまり、そのうち2兆ドルが7月以降の下半期に実行されている。この間、企業の手元資金は3.9兆ドル、ドライ・パウダー(ファンドがまだ投資に回していない投資待機資金)は2.5兆ドルにまで積みあがっており、この勢いは今年になってもまだ衰えることなく続いている。

<図表1>Global M&A Activity - 2020

 昨年秋に、デロイトが米国企業のM&A責任者に対して実施したサーベイの中で、「M&Aの実施件数や金額が、COVID-19以前のレベルまで戻るのはいつ頃と考えるか?」という問いを投げかけているが、実に61%の回答者が「1年以内(に元のレベルまで戻る)」と回答している。

<図表2>When do you think US M&A activity might return to pre-COVID-19 levels?

 このサーベイの実施時期からちょうど一年が経つ今、彼らの見立て通り日々のM&Aコンサルティングの現場でも「明らかに戻っている」「いやそれ以上である」という感触を得ている。さらに、ニューノーマルに向けた企業のありかたを模索する動きが活性化しており、同僚や業界の諸先輩方からも「10年でやることを1年でやろうとしている」という声もまた多く耳にしている。

 実際のところ、「今すぐやりたい」「今期中に完了させたい」「その上での課題があったら解決法も含めて助言してほしい」というご相談が本当に増えた。あえて言えば、昨年夏以降、M&Aの世界がかつてないほど「せっかち」になりつつあるという実感である。

 さて、COVID-19に伴うリモートワークの環境下において、バーチャル空間上での統合や分離を進めていく上での懸念事項についても、同じサーベイの中でアンケートがとられている。

 案の定、Technology Integration(買収企業と被買収企業のシステム統合やインフラ統合等)が最もハイライトされていた。

<図表3>What is the biggest hurdle to effectively manage the integration phase of a deal in a purely virtual enironment?

 これまで以上に短期間での統合や分離作業を、多くの社員がリモート環境にある中で進めていかなくてはならない、というハードルをいかに超えていくか。本稿で、当社のアプローチについて紹介する。


2. ITは深刻なボトルネックとなりかねない

 まず、このように「せっかち」になったM&A需要に対応していく上での最大のボトルネックは何であろうか? 筆者らは、主にIT(レガシー的情報システムから、最新のデジタルテクノロジーまで)を中心とした統合・分離を支援しているが、往々にしてここにボトルネックが内在していることが多い。プレディールの段階では「データがそろっていないのでシナジーを分析できない」、ポストディールの段階では「その時間枠ではITの十分な刷新ができない」と判断せざるを得ないことが多かった。結果、プレディールの段階では限られた時間の中でアクセスできる限られた社内外のデータに基づきM&A戦略の立案やシナジー試算をせざるをえず、またポストディールでも従来型のウォーターフォール的なアプローチで情報システムを順次刷新(もしくは統合)していくがために、それが完了するまでシナジー実現が後回しにされてしまう傾向にある。下図に、ディールの際にTechnologyの領域で見られる課題傾向を列挙する。

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