社会課題に対する、異業種連携(エコシステム)での取り組みの必要性
近年のデジタル化の急速な進展は、企業を取り巻く環境を激変させた。生活者の行動変化により、従来の業種・業界の枠にはまらないビジネスモデルが台頭しつつある。また併せて、気候変動による自然災害の頻発や、パンデミック等も発生し、企業活動では従来以上に多くの変化に晒されている。
いわば、自社の従来のケイパビリティのみを活かした戦い方では通用しない時代が到来している。直面する課題は社会全体に関わることも多く、解決には、業種・業界を超えた協力体制の構築が必要となっている。
例えば自動車産業では長らく、「性能を高め、台数を増やす」ことを目指してきた。ところが今は、環境への配慮や移動の効率性などの観点から、逆に「台数を減らし、稼働率を上げる」ことを求められるシーンが生まれるようになった。そのため自動車の製造・販売ビジネスという視点ではなく、モビリティサービスという視点から生活者への提供価値を問い直していった結果、従来とは異なる提供価値の構築が求められている。当然、その実現には、従来自社が培ってきた経営資源とは異なる能力が求められる。つまり必然的に、業種・業界を超えた連携が必要となってくる。いわば、自社目線の「エゴ」システムから、ステークホルダー間の共通のパーパスに基づく「エコ」システムへの転換が求められている。
これは、意思決定の主軸を「自社都合」から「社会課題解決」に置き換えることを意味する。