[視点]
2015年3月号 245号
(2015/02/15)
1 Comply or Explain型の規制の本質は何か
2014年は、日本企業の統治構造をめぐる革新的な変化が起こった1年と位置づけることができるだろう。2013年6月に日本政府から公表された「日本再興戦略」では、日本経済の成長を促進するという観点からコーポレートガバナンスの強化が提言されている。これを受けて、2014年2月には金融庁より日本版スチュワードシップ・コードが公表され、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な『目的を持った対話』(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、『顧客・受益者』(最終受益者を含む)の中長期的な投資リターンの拡大を図ることが求められるようになった。また2014年4月には経済産業省より「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトの中間論点整理、同8月には最終報告書(伊藤レポート)が公表され、企業が投資家との対話を通じて持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題が分析され、提言されている。さらに2014年12月には「コーポレートガバナンス・コードをめぐる基本的な考え方(案)」が公表され、会社は、株主から経営を付託された者としての責任(受託者責任)をはじめ、様々なステークホルダーに対する責務を負っていることを認識して運営されることを重視したコーポレートガバナンスの枠組みを設置することを提案している。いずれの報告書や提案も、共通しているのは、企業と投資家との円滑な対話を通じて、証券市場におけるショートターミズムなどを回避し、企業に持続的な価値創造を促そうとしている点である。さらに、一律の規制を適用するのではなく、原則的な考え方を基礎として、参照すべき規制内容を特定化したうえで、仮にそうした参照すべき規制と乖離がある場合には、投資家などの外部ステークホルダーに説明をして、理解を求めることに特徴がある。
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