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[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2017/09/27)

ベトナムの書店業界

 谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)

 9月21日、ハノイのイオンモール・ロンビエン内にて、日本の書店チェーン最大手の紀伊國屋書店が記念式典を開いた。これは同社が、ベトナム現地企業のFAHASAが同商業施設内に100号店としてオープンした書店の一角において、和書の販売を本格的に開始にするものである。今回の本格展開にあたり、日本の漫画や日本語の学習本などの和書を中心に1.5万冊を取り揃えたという。

 FAHASAは1976年に設立された年商8,987万ドルの国営企業で、従業員2,300名、店舗は全国に84店舗を構えるベトナム最大手の書店チェーンであり、紀伊国屋書店とは昨年6月に業務提携をおこなっている。

 ベトナムでは長年、1957年に輸出入専門中央書店として設立された国営企業のXUNHASAVAが独占的に図書、雑誌、新聞の輸出入をおこなっており、対してFAHASAは国内の販売部分をほぼ一手に担ってきたといえる。FAHASAに匹敵する書店チェーンは見当たらず、全国で約30店舗を構えるPNB(旧PNC)や、約20店舗を構えるVIETBOOK、他にはThang Long(2店舗)、Nhasachtritue(3店舗)といったところが複数店舗を展開しているに過ぎない。

 ベトナム人の年間読書量は平均0.8冊(2015年、文化スポーツ観光省調査)で、活字に触れる習慣が少ないと言われている。日本人の年間読書量は平均12冊(2013年、文科省文化庁調査)、アメリカも同じく平均12冊(2016年、Pew Research Center調査)といった中で、ベトナム政府としても2014年に4月21日を「ベトナム読書の日」に制定するなど、国をあげて読書を推奨しているが、ベトナム人の読書量が少ないのは、国としての出版規制で出版物自体が多くない、書籍が総じて高価、そして子どもに関していえば「お小遣い文化がない」といった背景も影響しているように見受けられる。

 このように、一見すると市場規模が期待できないベトナムに紀伊国屋が展開を加速させているのは、ベトナムにおける日本の漫画人気が理由の一つとして挙げられよう。

 ドラえもんや名探偵コナン、ドラゴンボールなど、ベトナムでは長年、漫画は海賊版として流通していたが、2004年には著作権保護を規定したベルヌ条約に加盟し、以降は正規品の日本の漫画が販売されるようになった。現在、国内市場では日本の漫画が約8割を占めてはいるが、まだ黎明期であり、漫画市場の規模自体のさらなる拡大の可能性は大いにある。

 また近年では、国内で格安スマートフォンの販売が相次いでおり、これまであまり馴染みのなかった電子書籍が今後ベトナムでも浸透していくと予想されている。

株式会社ワールディング

株式会社ワールディング
TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。


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