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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2021年6月号 320号

(2021/05/19)

第165回 ポストコロナに向けた税務政策の動向

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
1. はじめに

 新型コロナウイルス(以下、「新型コロナ」)の変異型による世界的な感染拡大が報じられ、今後の見通しの不確実性が増す中、国際金融基金(IMF)は2021年4月世界経済見通し (WEO)(以下、「IMF世界経済見通し」)で、今後の経済成長率予測を公表するとともに、「世界経済の基盤は安定化しているが、経済回復の差が拡大しつつあり、不確実性も大きい」とする見解を明らかにした。

 世界の新規感染者数が、2月下旬には1月のピーク時より半減したもののその後急増し、4月中旬には「第4波」に入ったと認識され、我が国でも3回目の緊急事態宣言が発出された。感染拡大の「確実な抑制には、感染の状況に応じて効果的に人出の制限と緩和を繰り返しながら、ワクチン接種を広げることが欠かせない。本格的な経済回復の道を開くための大事な局面を迎えている。」(日本経済新聞4月16日報道)とされる。

 本稿では、新たな局面を迎えた新型コロナの感染状況における世界の税務政策の動向について解説を行う。


2. ポストコロナの経済見通しと税務政策

 IMF世界経済見通しでは、①2020年10月の予測からの見通しの改善と経済回復の格差、②経済環境の高い不確実性、③政策の優先課題と不可欠な国際協調、を指摘している。まず経済見通しの改善については、2021 年に成長率(対前年比実質GDP成長率)が 6.0%、2022 年には 4.4%と予測され、2020年10月の予測からそれぞれ0.8% ポイント(2021年)、0.2% ポイント(2023年)の改善となる見通しである。経済協力開発機構(OECD)が3月に公表した経済予測(OECD Economic Outlook Projections、以下、「OECD経済予測」)でも、2021年5.6%、2022年4.0%、との予測を行っており、2021年半ばにはパンデミック以前の水準に回復すると推定している。

 このような経済見通しの改善は、「一部の経済大国における追加の財政支援や、年後半にワクチン接種効果による景気回復が期待されることを反映したもの」であり、「未曽有の政策対応のおかげで、新型コロナによる景気後退が残す傷跡は、2008 年の世界金融危機に比べれば小さなものとなる公算が大きい」(IMF世界経済見通し)と予測する。

 一方で、これは新型コロナ発生当初から言われてきたことだが、新型コロナの影響で「各国間、産業部門間の経済実績の格差が拡大し、社会的不平等が高まって特に社会的弱者に影響を及ぼし、多くの人々の雇用見通しと生活水準が長期的に悪化する恐れがある」(OECD経済予測)との懸念も深刻化しつつある。各国間の格差の拡大は、その国の産業構造(観光や一次産品輸出の依存度が高い)や医療体制の他に財政能力(経済回復の適切な政策が限られている)等の理由で、ヨーロッパの新興市場国・途上国、中南米、中東、アフリカの経済の回復は、アジアを含む新興市場国・途上国の成長率を下回ると予想される(図表1参照)。

 又、同一国内でも就労形態等により所得格差が著しく増大する可能性が高いと予想され、新型コロナによる教育機会の喪失が、将来的な所得格差を更に拡大させる事か懸念されている。

 経済環境の不確実性については、変異型の発生がより高い不確実性をもたらしていると言える。異変型ウイルスがワクチンの普及を上回る爆発的は感染を引き起こす場合や、既存のワクチンの改良が必要とされる場合等、今後の展開は予断を許さない状況である。しかしながら、このような高い不確実性の状況にあっても、政策当局者は、慎重な政策を優先させるべきであると提言する(IMF世界経済見通し)。それは、昨年から既に実行されている、セイフティネットの保証制度の継続や、医療・職業訓練に対する十分な資源確保、環境に配慮したインフラへの投資による低炭素社会への移行促進、DXの推進等を含む。

 但し、経済回復の局面においては、

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