[M&A戦略と会計・税務・財務]
2015年2月特大号 244号
(2015/01/15)
1. BEPS行動計画の進展
OECD租税委員会では、多国籍企業による、高度な国際的スキームや投資ストラクチャー(租税条約の濫用や移転価格の操作を含む)を利用した所得や費用の移転等(即ち、各国の税制上の差異に基づく二重非課税や移転価格による軽課税国への所得移転)への対応として、OECD加盟国の枠を超えた、国際課税のルール策定を進めている。これが、OECD・BEPS プロジェクトと呼ばれるものであり、2012年6月のG20ロスカボス・サミット(メキシコ)でOECD非加盟8カ国(中国、インド、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ)も含めたBEPS多国間協定開発に向けた非公式グループ(OECD/G20 BEPSプロジェクト)として発足した。
その後、2013年2月に「税源浸食と利益移転について(Addressing Base Erosion and Profit Shifting)」と題する報告書を公表、2013年7月には「税源浸食と利益移転行動計画(Action Plan on Base Erosion and Profit Shifting)」(以下「BEPS行動計画」)を公表し、行動計画毎に、討議草案及び各国のコメントに基づく報告書が逐次公表されている(図表1参照)。
BEPS行動計画は公表から約2年半での最終報告という、非常に野心的な作業工程であり、プロジェクトメンバー国間の利害の相違も勘案すると、果たしてどの程度現実的な策定案が上梓されるのか疑問がないわけではない。しかしながら、EU各国ではBEPS行動計画に先んじて国内法の租税関連に立法を進めている国もあり、今後数年間の我が国への課税立法への影響は特に注視する必要がある。本稿では、2015年度税制改正において改正案が予定されているBEPS行動計画2のハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化について解説を行う。
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