[産業構造の変化に対応するM&Aの実務]
2013年8月号 226号
(2013/07/15)
今、日本の産業競争力を高めるためのインフラ改革が議論されています。インフラ事業において、新しい産業の創出、成長分野への投資、国際展開について、政府が企業を応援する仕組み作りが進んでいます。その中でも、空港、上下水道などの民営化及び電力・ガスなどの効率化、更に新エネルギーの開発の動きが盛んになっています。こうした構造変化のプロセスにおいて、事業売却、M&Aの機会を先取りするアドバイザーの役割について、検討してみます。
1. はじめに
日本の産業競争力を高め、新たな産業創出を図るインフラ改革とは何でしょうか。空港、上下水道、有料道路などの分野で、公共事業から民間企業の事業へ転換する民営化の検討が進められています。また、電力、ガス等の分野では事業再編による効率化の動きがあります。更に先進国では再生可能エネルギーやシェールガスの開発に積極的に取り組んでいます。今後、インフラ・ファンドの設立、官民の役割の見直し、事業の分離や新分野の開発が進んでいくものと思われます。
2. インフラ改革
インフラ改革は、政府によるスキーム作り、民間運営会社の選定、ファンド組成、ファイナンスのスキーム、運営権・資産・事業の売却プロセス化を経て、工程表を具体化していくことになります。
アドバイザーの役割としては、官側(政府機関、公社公団)に立つ場合と民側(投資家、民間事業者)に立つ場合では異なります。
まず、官側のアドバイザーは、市場動向の調査や経営の現状把握、事業の方向性の検討の準備段階を支援することから関与が始まります。これらの機能はM&Aの売り手アドバイザーと共通しますが、社会性や公共性を重視したプロセスの構築が必要となります。
民側のアドバイザーとしては、事業の収益性の見極めや事業価値の向上策、経営の効率化などの具体案を検討していきます。潜在的な買い手として、案件取り組み可否の材料となる情報分析など、M&Aの買い手アドバイザーの初期的な役割を進めていきます。(図表1参照)
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