[産業構造の変化に対応するM&Aの実務]
2014年4月号 234号
(2014/03/15)
ここ数年の大型M&Aを振り返ってみると、リース、販売金融、リテール金融のM&Aが目立っています。いわゆる「その他金融」に分類される領域は、銀行だけでなく、商社、事業会社、流通、信販会社などの企業グループのポートフォリオに組み込まれています。国内の金融市場が飽和状態の中で、銀行、商社、そして事業会社がグローバル化を志向しており、新たな収益機会を求めてリース、販売金融、リテール金融のM&Aに注目しています。M&Aアドバイザーとしては、このニーズをとらえて、案件ソーシングの強化とリスクの最小化に努める必要があります。
1. 金融M&Aの動向
過去3年間で日本企業が関与したM&Aは年平均約10兆円となります。国内・海外で比較すると、日本国内4兆円、海外6兆円と海外比率が近年高まっています。金融(ファンド、銀行、保険、リース、ノンバンク)セクターのM&Aは年平均2兆円と最も活発な買い手となっています。国内と海外の比率を見ると、日本国内1兆円、海外1兆円とほぼ半分は海外M&Aです。
業種別・エリア別のM&A金額比率を見ると、全産業では、日本4:アメリカ3:欧州2:アジア太平洋1となっていますが、金融セクターは、日本5: アメリカ1:欧州 2: アジア太平洋2となっており、金融セクターはアメリカよりもアジアM&Aが多いのが特徴です。
全産業の投資対象国はアメリカ、イギリス、ドイツ、スイスなどの欧米諸国、タイ、ブラジル、中国などの新興国へのM&Aが目立っています。一方、金融セクターではイギリス、アメリカ、ドイツに交じって、タイ、インドネシア、ベトナムなどへの投資が顕著です。もっとも、1件当りで数千億円クラスの大型投資が出れば、順位は異なってきます(図表1参照)。
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