[M&Aスクランブル]

(2019/01/30)

2018年1-12月の全国・地域別M&A状況 ~地方のM&A 中小企業の事業承継・事業再生と地域金融機関の対応~

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1.2018年は前年に引き続き全国的に活況

  2018年の地方のM&Aは、2017年に引き続き全国的に活況だった。オーナー企業の事業承継に伴う売却案件が増加しているほか、地域金融機関が地域再生・支援ファンドなどを設立・投資実行するなど、買い手の意欲も旺盛なことが背景にある。

  47都道府県に本社を置く日本企業が2018年1年間に実施(発表)したM&A件数を全国6ブロック別(地方別)にまとめ、それぞれ買い手(当事者1)、売り手(当事者2)別に集計し、2017年と比較してみると、買い手3328件、前年比26.5%増、売り手2918件、同30.3%増となり、全国6ブロックで買い手・売り手ともに増加した(図表1)。買い手、売り手の所在地を「東京都」と「東京都以外」に分けると、買い手は「東京都」2250件、28.7%増、「東京都以外」1078件、22.2%増、売り手は「東京都」1716件、30.5%増、「東京都以外」1202件、30.1%増と、買い手、売り手ともに「東京都」への一極集中の状況に変化はないが、「東京都以外」も増加しており、地方でのM&Aは確実に増えていると言える。

  オーナーや社長などが一定規模の株式を売却するいわゆる事業承継系の案件は543件で、2016年の298件、2017年の321件に続き増加している。金融機関などで構成される「事業承継ネットワーク」の構築や民間マッチングサイトの相次ぐ創設といった動きもあり、今後ますます活発化していくとみられる。

  買い手の3328件を業種(中分類)別にみると、投資ファンドなどの「その他金融」が705件で最も多かった。前年比25.9%増加し、全体の21.2%を占めた。東京都を中心とした事業会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)によるベンチャー投資の増加に加え、事業承継支援、事業再生・創生支援などを目的とした地銀系ファンドなどによる投資の活発化が背景にある。他方、売り手の2918件の業種別では「ソフト・情報」が1038件で圧倒的に多い。前年比43.0%増加し、全体の35.6%を占めた。

2.全国6ブロック別M&Aの状況

  全6ブロックで買い手・売り手ともに増加した(図表1参照)。買い手では、「北海道・東北」で116件、61.1%増と目立った。売り手では、「関東・甲信越」で2041件、32.3%増、「中国・四国」で92件、41.5%増と、件数が伸びている。



3.全国6ブロック別M&Aの主な事例

①北海道・東北地方

  買い手116件を業種別にみると…



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