ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア、ウクライナに進出している日本企業の動向が注目されている。日本企業がロシア事業を停止・縮小する動きや、その他駐在員の帰国・出国や原材料の調達先をロシア以外へと切り替える動きが報道されている。今回の出来事が世界の経済・社会に与える影響を現段階で評価することは難しい。ただし、アメリカのトランプ政権発足以降、多くの人が心の中で感じていたであろう、世界経済のグローバル化が逆回転するおそれ、すなわち、世界経済のブロック化進展への予感が高まっているのは事実である。
本稿では、ロシアのウクライナ侵攻を受けての日本企業の対応をまず確認すると共に、世界経済ブロック化の
クロスボーダーM&Aへの影響について考察してみたい。
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■ 筆者履歴

村松 健(むらまつ・けん)
1996年慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。富山支店、業務部、証券部、広島営業部、みずほ証券等で勤務。2021年11月より現職。著書に、『銀行実務詳説 証券』、『NISAではじめる「負けない投資」の教科書』、『中国債券取引の実務』(全て共著)がある。論文寄稿、セミナー等多数。日本財務管理学会、日本信用格付学会所属。
・SBI金融経済研究所
https://sbiferi.co.jp/