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[M&A戦略と法務]

2021年10月号 324号

(2021/09/15)

コーポレートガバナンス・コード改訂とM&Aへの影響

谷津 朋美(TMI総合法律事務所 パートナー 弁護士 公認会計士)
第1 はじめに

 2021年6月11日、コーポレートガバナンス・コード(「CGコード」という)が改訂され、同日、プライム市場に関する部分を除き、施行された。改訂CGコードは、2022年4月4日に予定されている東京証券取引所の新市場区分への移行を前提とし、金融庁及び東京証券取引所が事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下「フォローアップ会議」という)からの提言を踏まえて改訂されたものである。

 本改訂の主なポイントは、(1)取締役会の機能発揮、(2)企業の中核人材における多様性の確保、(3)サスティナビリティを巡る課題への取組み、(4)支配株主を有する上場会社における少数株主保護のための利益相反管理措置、(5) プライム市場上場会社の議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進等である。上場会社は、2021年12月までに改訂CGコードの内容について、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン(注1)」したコーポレートガバナンス報告書を提出する必要があり、これに加えてプライム市場上場会社は、2022年4月4日以降に最初に開催される株主総会終了後速やかに、プライム市場に関する部分も含めた改訂CGコードにもとづく報告書を提出する必要がある。

 本稿では、CGコードの主な改訂内容を説明した上で、M&Aへの影響について述べる。


第2 CGコード改訂の主なポイント

1 取締役会の機能発揮

 2022年4月、東京証券取引所は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の新市場区分に移行する予定である。このうちプライム市場は機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、一段高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を実践しながら持続的成長と中長期的な企業価値の向上をコミットする会社向けの市場とされている。一方、グロース市場は高い成長を目指すものの、事業実績の観点から相対的にリスクの高い企業向けとされ、CGコードは基本原則のみが適用される。

 これを踏まえ、コロナ後の厳しい経営環境において独立社外取締役がより重要な役割を果たすべく、本改訂ではプライム市場上場会社は独立社外取締役を3分の1以上(それ以外の市場は2名)選任すべきものとされた(原則4-8)。

 また、改正前CGコードでは、監査役会設置会社または監査等委員会設置会社で、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない上場会社は、独立社外取締役を主要な構成員とする諮問委員会を設置して適切な関与・助言を得るべきであるとされていたが、その役割・範囲の明確性や独立性が十分でないとの批判があった。そこで、本改訂では、諮問委員会に代えて指名委員会・報酬委員会を設置すること、指名委員会の役割に後継者計画が含まれることが明記された。さらに、各委員会の独立性を高めるため、プライム市場上場会社は、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、その委員会構成の独立性に関する考え方、権限、役割等を開示すべきものとされた(補充原則4-10①)。

 独立社外取締役の機能が発揮されることにより取締役会の実効性が確保される前提条件として、

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