[M&A戦略と法務]

2015年4月号 246号

(2015/03/15)

株式取得に伴う属人的な定めの利用

 生頼 雅志(TMI総合法律事務所 弁護士)
 荒井 悦久(TMI総合法律事務所 弁護士)
  • A,B,EXコース

第1 はじめに

  第三者割当ての方法による増資の引受け、株式譲渡その他M&Aを通じて株式を取得する場合等において、一定の事項を自己の事前同意事項とすることで発行会社に対する拒否権を取得したり、他の株主に優先して剰余金の配当や残余財産の分配を受ける権利を確保したりするなど、発行会社並びに経営株主及びその他の大株主等、関係者間の権利関係について調整を図ることがしばしば見受けられる。

  実務上、かかる権利関係の調整を図る方法としては、株主間契約を締結する方法若しくは種類株式を利用する方法、又はこれらを併用する方法が用いられることが多い。

  しかしながら、非公開会社においては、株主総会における議決権に関する事項等一定の事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めること、すなわちいわゆる属人的定めを規定することが認められており(会社法109条2項)、かかる属人的定めを規定することにより、株主間契約を締結する場合や種類株式を利用する場合とは異なったニーズに対応することができる場面もある。本稿では、属人的定めの概要を説明するとともに、非公開会社の株式を取得する場合において、株主間契約の締結及び種類株式の利用のほか、属人的定めを利用することが考えられるケースについて検討をすることとする。

  

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