[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2022年11月号 337号

(2022/10/12)

第211回 台頭する中国自動車業界~EV生産の成長を軸に活発化する中国自動車メーカーの海外M&A

――2030年までに3000万台規模までの成長が視野に

湯 進(みずほ銀行 ビジネスソリューション部 主任研究員)
  • A,B,EXコース
日中の自動車産業の歴史と業界再編

 1985年のプラザ合意以降、日本自動車メーカーは円高に対応するため、完成車輸出から海外生産に切り替えを進めてきた。日本自動車メーカーの自動車生産台数は2007年にピークの1170万台に達した。

 そうしたなか、2001年の中国のWTO加盟や外資企業の進出を契機に中国の自動車生産台数は拡大し、2008年に米国、2009年には日本を抜いて世界首位となった。ただし、中国自動車産業界では、生産規模の拡大がイノベーションの創出に結びつかず、地場自動車企業の技術キャッチアップと自動車の海外輸出が遅々として進まないほか、内燃機関不要の電動車両の発展に期待せざるを得ない状況となっている。

 2021年の販売実績をみると、中国自動車最大手の上海汽車の販売台数はトヨタ自動車の5分の1程度に過ぎないものの、電動車では比亜迪汽車(BYD)がトヨタの5倍超となっている(図表1)。BYDは22年9月7日時点で、時価総額でトヨタに次ぐ世界自動車業界第2位に躍進している。EVシフトが加速するメーカーと内燃機関車を中心とするメーカーとの市場における成長期待の差が一目瞭然となっている。

 本稿ではこうした産業構造の変化を踏まえ、中国の自動車市場、中国と日本の自動車メーカーとの協業の状況、また活性化するM&A戦略について考察する。

競争が激しい中国の自動車市場

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング