[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]
2015年5月号 247号
(2015/04/14)
3大予備校の一角を占める代々木ゼミナールの大リストラが学習塾・予備校業界に大きな衝撃を与えた。同業界の現状と今後のM&A動向を有力アナリストなどに聞いた。
他人事ではない「代ゼミ」大リストラ
「断腸の思いですが、学園存続のためには大幅な校舎運営費と人件費の圧縮を行わなければなりません」――大手予備校「代々木ゼミナール」の職員に対し、2014年8月同予備校を経営する高宮学園の高宮英郎理事長名でこのような文書が出され、27の校舎のうち20校の閉鎖と職員、講師の半数以上がリストラされることになった。かつて、駿台予備校、河合塾とともに、三大予備校と呼ばれた代々木ゼミナールの大リストラは学習塾・予備校業界に大きな衝撃を与えた。
代ゼミは1959年の設立以来、大学進学率の上昇を背景に、中堅私立大を志望する浪人生を中心に大量に受講生を集め、名物講師によるマンモス教室を使った授業で急成長した。しかし今や、少子化に伴う受験人口の減少や現役志向の高まりもあって、91年度に全国で29万人いた浪人生は3分の1に減少、また、高望みしなければ誰でも大学に入れる全入時代に突入している。こうした時代変化への対応の遅れが代ゼミの今回の大リストラにつながった。
矢野経済研究所が発表した「教育産業市場に関する調査結果2014」によると、13年度の学習塾・予備校市場規模は前年度比0.2%減の9360億円で、4年ぶりの縮小となった。少子化の影響が大きく、学習塾・予備校市場全体としては今後ゆるやかに縮小していくと予測している。
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