[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]
2015年11月号 253号
(2015/10/15)
1.はじめに
2016年4月1日より電力小売が全面自由化され、これまで地域電力会社(東京電力、関西電力、中部電力等の地域電力会社10社。)が地域において独占的に供給していた50kW未満の一般家庭、商店・事業所等に対する参入規制が撤廃される。
一般家庭等向け電力小売の市場規模だけでも、国内における鉄道市場、百貨店市場、家電量販店等と並ぶ売上規模7.5兆円を誇り、また、電力業界全体の市場規模は約18兆円とみられている。電力小売市場は、参入企業にとっては、巨人は存在するものの国内に残された数少ない大きなフロンティアとなっている。
電力小売の事業者数である特定規模電気事業者の登録者数も、2014年4月時点の206社から、電力小売全面自由化に関する電気事業法の法案提出、成立を経た2015年9月時点では751社へと、この1年半の間に約3.75倍へと急増した。
また、個別の企業行動としても、関東進出を目的とした中部電力のダイヤモンドパワー買収や関西電力の中央電力への資本参加といったM&Aによる地域電力会社の他地域への進出や、ネット企業の楽天と丸紅の包括提携といった、これまでの電力業界では想像しえなかったような取り組みがなされている。
電力事業は、電気を生み出す「発電事業」、電気を需要家へ送り届ける「送配電事業」、電気を需要家に販売する「電力小売事業」に大別されるが、本稿では、このように特に企業の参入意欲が高く、M&A及びアライアンスの可能性が高いと考えられる電力小売業界について考察を試みたい。
なお、電力事業においては、法律にも定義される専門用語も多いが、本稿の読者の多くが電力業界関係者以外であることを意識し、多少厳密さを欠くことを覚悟のうえで、一般的なビジネス上の表現を用いることとする。
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