[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2016年9月号 263号

(2016/08/15)

エイボン・プロダクツ――化粧品訪販大手がキーストーン・パートナースと組んで打ち出す成長戦略の中身

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堤 智章(エイボン・プロダクツ 代表取締役社長)  企業再生ファンドを運用するキーストーン・パートナース(KSP)が2016年1月、「リバイバルスポンサーファンド弐号投資事業有限責任組合」を通じて化粧品の訪問販売大手エイボン・プロダクツ(以下エイボン)を買収した。

  エイボンの親会社であったAvon Products, Inc.は、1886年米国ニューヨークで創設。エイボン商品のカタログを配布することによって商品の販促活動及び販売を行うエイボンレディという訪問販売方法(ダイレクト・セリング)を確立し、100カ国以上の国々で540万人以上の“エイボンレディ”を擁する世界No.1のダイレクト・セリングカンパニーへと成長したことで知られる。日本市場への進出は68年、その後、73年から日本で販売するスキンケア化粧品などの大半を神奈川県の厚木工場で製造する体制を整えるとともに、同年日本法人「エイボン・プロダクツ株式会社」を設立、「エイボン」ブランドの基礎化粧品を中心に訪問販売や通信販売を手掛け、87年には日本証券業協会に株式を店頭登録、04年ジャスダック証券取引所に株式を上場した。他のエイボン・グループ企業とは異なって、エイボン日本法人では売上の大部分が日本人の肌に合わせて開発した日本独自の商品で占められているのが特徴である。

  その結果、日本市場でもエイボンブランドは確固たる地位を築いたが、デフレ経済の長期化やリーマンショックを契機とする世界的な金融危機等による景気後退による個人消費の低迷に加えて、強引な訪問販売を規制する特定商取引法・割賦販売法の改正法施行やインターネット通販の伸長などにも影響されて、訪問販売の市場規模は縮小傾向をたどり経営環境は厳しさを増していった。実際、日本訪問販売協会によると09年度の化粧品の売上高は4277億円と、過去10年で37%減少している。こうした中で同社の業績も苦戦を強いられた。売上高は04年12月期(前期比 4.1%減の約337億円)から6期連続して減少、06年12月期以降5期連続の赤字に陥り、10年12月期には売上高約175億円(前期比10.7%減)、当期純損失9憶7000万円という状態になった。

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