中小企業庁は2023年3月16日、「第8回中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」を開催した。本検討会では、M&A登録支援機関制度に登録するFA/仲介業者2823者が、2021年度(2021年4月~2022年3月)の1年間に成約に至った中小M&Aについての「実績報告」の内容が報告された。
これによると、資本金1億円以下の中小企業が当事者となるM&Aで2021年度に成約実績のあった件数は3403件にのぼる。このうちM&A専門業者(仲介)が2046件を扱っており、全体の6割を占める。次いで金融機関の643件となっている。このほか、成約案件のPBRの分布状況や株式譲渡価額に対するM&A報酬率の状況などが公表された。
また、中小M&Aにおける主な課題として、①取引価額(利益相反)、②手数料、③契約内容について説明事項の明確化、④M&A支援人材の質の確保・向上、⑤PMIに係る取組、⑥成長志向のM&Aに対する支援の6つが挙げられ、対応としてM&Aの実績報告の公表により、取引価額に関する参考情報の提供や手数料実態の見える化、中小M&Aガイドラインで顧客に説明すべきことを明示的に記載する等の方向性が示された。
このほか、本検討会の下に「中小M&Aガイドライン見直し検討小委員会」を設置する案が出された。小委員会では、中小M&Aガイドラインの見直しについて、具体的な内容やガイドラインへの書きぶりを検討する。2023年4月以降に第1回を開催する予定。