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[ポストM&A戦略]

2014年4月号 234号

(2014/03/15)

第64回 ジョイントベンチャーへの対応(下)

 竹田年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル)

  前回は、ジョイントベンチャー(Joint Venture, JV)の本来的なメリットと、そのトレードオフである潜在的な問題点を取り上げ、そのうちJVに対するガバナンス確立の問題について論じた。
  今回は、JVのもう一つの問題点、すなわち円滑なJVの設立に関する組織・人事上のポイントについて解説する。具体的には、組織統合とその前工程のカーブアウト(事業切り出し)に絡む問題であり、どのような姿でJVをスタートするか、という経営判断の問題である。また、JVへ赴く社員の身分について、出向で対処するか転籍させるか、という点についても触れる。

組織再編型JVのパターン

  前回提示したJVの4類型の#1と#2は、JVパートナー各社の当該事業を切り出して統合する、組織再編型JVと呼ぶべきものである。この類型では、M&Aにおける組織・人事上の観点から、円滑にJV設立のDay 1を迎えること自体に相当の難しさを伴うため、今回はここに焦点を当てて解説する。
  図は、この組織再編型JVの類型を、組織統合にどこまで踏み込むかによって3つに大別して示したものである。JVのシナジー効果を最大限に引き出すためには、一般に、JVパートナー各社の事業を、特定の明確な思想に従ってきちんと統合し、一つの組織として整然と動くようにしつらえる必要がある。そして、この一体化した組織を、それぞれのパートナーが所定の持ち分比率で保有するのが本来のJVの姿である(③完全統合型JV)。
  ところが、これまで本連載でも取り上げて解説したように(例えば第23回「インテグレーション(下)」)、組織統合というのは、「決めの問題」としか言いようのない事項も含めて、ガバナンス側の意思に沿って、組織の上から順番に組織構造と人事を固めていくものであるので、一定の工数をかけることが必要になる。言い換えれば、組織統合は一般に急いでやらないと効果が減衰するものではあるが、反面、情報の足りないところで組織統合を急げば形式的な統合に終わるのは自明であり、大事な判断を誤り、将来に禍根を残すことにもなりかねない。つまり、より現実的に言えば、一定期日までにJVを立ち上げることを優先するならば、完全統合をあきらめなければ間に合わない、ということが起こる。
  これは、ガバナンス側が単一である通常の買収であってもそうである。例えば、Day 1の姿として目指すのは、カーブアウト(事業譲渡)で切り出して買収した事業の受け皿拠点を新設して受け入れる、あるいは自社の既存拠点で受け入れるというところまでが精一杯であるケースは珍しくない。また、カーブアウトではなく株式買収であっても、Day 1 に組織統合を間に合わせる、というのは例のないことではないが、実際これを実施するには相当にアグレッシブなプロセスを要する。さらにディールの内容によっては、各種の規制やその他のリーガル上の問題が生じるため(いわゆるガン・ジャンピング)、そもそもDay 1 前には組織統合の具体的な検討が十分にできないことも多い。

 

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