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[ポストM&A戦略]

2014年8月号 238号

(2014/07/15)

第68回 ベア・ミニマム(最低ライン)のクロージング(上)

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング  プリンシパル)

  カーブアウト案件(事業譲渡、いわゆる「切り出し」案件)では、株式買収に比べて、クロージングを迎えるための準備が重い。組織・人事の観点からは、具体的には各国の拠点における買収対象事業に従事する従業員への転籍のオファーと受諾、およびベネフィット(健康保険などの福利厚生)・ペイロール(給与支払)の立ち上げがクリティカルになるのが典型的である。
  実際、買収合意前は激しく交渉しても、買収に合意した後は、売り手は「円滑にクロージングを迎えることは、双方共通の利益である」と言う認識に立ち、必要な情報を買い手に出して便宜を図ることが多い。
  ところが、状況によっては、売り手の協力レベルが売り手の考える最低ライン(Bare minimum)にとどまり、従業員をきちんと迎え入れたい、とする買い手の意向に全く沿わないものとなる。
  今回からは、このような売り手の姿勢の背景と、具体的な対応策を論じる。

サイニング後に進む買い手と売り手の協調関係

  M&A最終契約書(DA, Definitive Agreement)にサインするまでは、売り手と買い手は厳しい交渉をしている。ただし、ひとたびサイニングが終われば、合意した期日に円滑にクロージングを迎えることは共通の利益であるとの理解に立ち、売り手と買い手ができる限りの協力をするのが通常である。例えば、買収先の経営者や担当部署と買い手がコミュニケーションを持てるように、売り手ができるだけの便宜を図る、ということである。もちろん、ガン・ジャンピング規制に代表されるように、本来クロージングを迎えてからでないと行えない事項は除く。
  組織・人事の観点から言うと、カーブアウト案件で、円滑にクロージングを迎えるための準備には、買い手はかなり神経を使う。主要なものを具体的に挙げると、転籍の完了と、ベネフィットおよびペイロールの立ち上げである。これを各国・各拠点で、期日に間に合わせなければならない。(本連載第4849回「人事のスタンド・アロン・イシュー(上)(下)」参照)。
  このためには、売り手から、あるいは売り手了解の上で買収先の担当部署から、買い手は詳細で正確な情報の提供をタイムリーに受け、準備を進める必要がある。つまり、買い手はクロージングの推進体制を定め、詳細な計画を作成し、いろいろわきおこる問題を解決しながらそれをスケジュール通りに実行しなければならない。
 

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