[編集部から]

2022年3月号 329号

(2022/02/09)

次号予告と編集後記(2022年3月号)

次号予告

2022年4月号
特集:資本生産性とサステナビリティを共に高める経営実践論
2022年3月9日 マールオンライン上の先行リリース 
2022年3月15日 発売予定 
※内容は変更されることがあります。タイトルは仮題です。

編集後記

■2カ月前になりますが、2022年1月号の「視点」コーナーへの浜田道代名古屋大学名誉教授のご寄稿:「M&Aと1980年代の思い出」は、先生の1985年~86年のハーバード・ロー・スクール留学時代のエピソードを綴ったもので、その時代の空気感を見事に伝える貴重な記録でした。当時のハーバードの会社法の講座では「敵対的買収」「LBO」「ポイズンピル」など、M&Aに関する議論が教室を席巻しており、その「異次元の光」がその後の先生の研究における原体験になっていることを知ることができます。帰国後の大学の浜田ゼミで「ホワイト・ナイト」を「白夜」と訳したという笑い話も妙に楽しいです。見逃した読者には、一読をお勧めしたいと思います。
ところで、アメリカでM&Aブームが吹き荒れていたこの頃、日本の企業ファイナンスの世界ではどんな変化が起きていたのでしょうか。一言で言うと資金調達における自由化・イノベーションです。当時の専門書(*)によれば、日本の上場企業の銀行借入などを除く直接金融による資金調達額は、1978年度の3兆2442億円(うち海外6209億円、海外比率19.1%)から1983年度の4兆4490億円(うち海外2兆385億円、海外比率45.8%)へと、直接金融に大きくシフトするとともに、より自由で機動的な海外調達が主流となっていきました。この間、新株引受権付社債(ワラント付社債)の発行が解禁され、今や常識となった通貨スワップやエクイティ債における行使価格修正条項等々、様々な新しい手法が定着していきました。自由化、多様化、国際化、高度化が一挙に訪れた、企業ファイナンスのイノベーションの時代だったのです。
ちなみに、レコフデータのM&Aデータは1985年から始まっていますが、その年のM&A件数はわずか260件でした。M&Aのイノベーションが日本に到来するのは、それから15年後。M&A法制が整備されつつあった2000年頃になります。マールでM&Aデータを公表し始めたのは、1995年でした。(朱鷺)
(*)「新時代の企業ファイナンス戦略 調達編」(山一証券経済研究所・山一證券編:1984年第1刷)

■今年に入り、北海道や日本海側地方に激しい寒波が襲来。“ホワイトアウト”(猛吹雪などで視界が白一色となる気象現象)と呼ばれる現象さえ起きました。その様子をニュースで見るにつけ、雪国の人々の生活の大変さを再認識するとともに、送配電網が寸断されるようなことが起きると、人命に関わる可能性さえあり得ると思うと背筋が寒くなります。折しも、新型コロナウィルスのオミクロン株による感染大爆発“第6波”が起こっており、改めて、電気や通信、交通機関等の社会インフラの重要性を認識し、医療、介護、物流等の仕事に携わっている方々の使命感に頭が下がる思いです。さらに1月中旬には南太平洋のトンガ沖で海底火山が爆発し、8000~1万キロメートルも離れた日本や米国、ペルー沿岸でも潮位の上昇がみられました。1月17日は阪神・淡路大震災から27年が経ち、災害時の対応を考えずにはいられない年明けでした。
気候変動によるリスクはますます増大が予想され、上場企業ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示が推奨されています。企業や個人もいつ来るかわからない地震や災害を意識し、対応策を想定しておくことは大切です。個人としてはいかに日々の積み重ねが大事かを実感する機会が増えました。何事も意識して、日々、できることから備えていきたいと思います。(風)

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