※本記事は、M&A専門誌マール 2022年7月号 通巻333号(2022/6/15発売予定)の記事です。速報性を重視し、先行リリースしました。
ふくおかフィナンシャルグループ(以下、ふくおかFG。FG傘下に福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行)は独立系M&Aアドバイザリーのフーリハン・ローキー(旧GCA)傘下のHLサクセションと包括提携し、4月1日付で銀行取引先に対して事業承継・M&A仲介・助言業務を行う新会社「FFG サクセション」(福岡市)を設立した。2025年3月期に22年3月期比で約2倍となる12億円の手数料収入、27年3月期に18億円の手数料の獲得を目指す(ふくおかFG3行+FFGサクセション合算での手数料収入額の目標)。ふくおかFG傘下3行だけではなく、将来的には他の金融機関とも連携していきたい考えだ。地銀がM&Aや事業承継関連業務を行う専門会社を傘下に立ち上げた例は珍しく、取り組みの進展が注目される。
認知度に課題
―― FFG サクセションの立ち上げの経緯について教えてください。
「福岡銀行ではこれまでも事業承継やM&A関連業務に意欲的に取り組んできました。九州地域でも、コロナ前の2019年頃から事業承継がかなりクローズアップされてきており、M&Aを専門に扱う仲介会社が増えています。
これまでの福岡銀行での事業承継等に関する取り組みは、既存取引先に地道にニーズを聞いていくというスタンスで、広告などで積極的にアピールしにくかったという点が課題でした。このような状況のままでは、銀行が業務として事業承継やM&Aを手掛けられるというイメージが次第に薄れていって、事業主も事業承継やM&A関連の話は専門業者に相談しよう、となりかねないのが大きな悩みでした。
そこで、傘下に3行を持つ銀行持株会社のふくおかFGとして、『銀行もM&Aや事業承継関連業務がきちんとできる』いう点を分かってもらいたいと考えました。事業承継やM&A関連業務を行う別会社を銀行から切り離して立ち上げれば、業務の自由度も上がって機動的にアライアンスを組んだり、専門人材を確保するといったことも容易になります」
―― 過去、どのようにして事業承継、M&Aに取り組んできましたか。
「15年ほど前に福岡銀行のソリューション営業部(現産業金融部)で事業承継、M&Aの関連業務を開始しました。当初は、M&Aという言葉も浸透していませんでしたし、センシティブな話なので銀行として積極的に提案がしにくいテーマでした。
その後、事業承継ニーズの高まりに応じて、順調にビジネスとしては成長していましたが、