[視点]

2011年11月号 205号

(2011/10/14)

適格現物分配に関する課税制度の理論的問題点

九州大学法学研究院教授 渡辺 徹也
  • A,B,EXコース

平成22年度の税制改正により、新たに適格現物分配に関する課税制度が創設された。これを一言でいうと、完全支配関係がある法人間で行われた現物分配を適格組織再編成として扱うことで、分配段階における課税を繰り延べるという制度である(注1)。
この改正は、同年に導入されたいわゆるグループ法人税制の一環として行われた。政府による平成22年度税制改正大綱では、「グループ内取引等に係る税制」が、「100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等」「100%グループ内の法人間の寄附」など6つに分けられていて、その1つである「100%グループ内の法人間の資本関連取引」という項目のなかに適格現物分配に関する言及がある(注2)。そこでは、100%グループ内の内国法人間の現物配当(みなし配当を含む)について、組織再編税制の一環として位置づけ、譲渡損益の計上を繰り延べる等の措置を講じることが示されている。

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