これまで
3回に亘って百貨店業界の概況と、2007~08年の経営統合によって誕生したJ.フロント リテイリング、エイチ・ツー・オー リテイリング、三越伊勢丹HDについて解説した。最終となる今回はそごう・西武の動向を解説する。同社は2003年にそごうと西武百貨店による経営統合によりミレニアムリテイリングとして発足し、2006年にセブン&アイHDが買収し親会社となっていたが、今年、投資会社に全株式を売却している。
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6. そごう・西武
■「そごう・西武」発足の経緯
1980年代、土地を担保に融資を受け積極的な出店を繰り返したそごうは、バブル崩壊に伴う債務負担の増大と業績悪化により2000年に民事再生法の適用を申請。経営が破綻した。そごうには、再建を託される形で西武百貨店元社長の和田繁明氏が特別顧問に就任。2001年には巨額の債務免除などを含む再生計画案が可決され、休眠状態にあったグループ会社の十合(そごう)が百貨店事業会社等を統合し、和田氏は同社の社長に就任した。
和田社長は1990年代、医療機器の架空取引に関わる不祥事を契機として経営危機に陥った西武百貨店の会長及び社長に就任し立て直しに尽力した(在任期間は1992~99年)。和田氏の十合社長就任は、同氏の西武百貨店での実績と再建手腕に期待が寄せられたことによる。
2001年、十合は和田社長の出身母体である西武百貨店と包括提携契約を締結した。西武百貨店より役員及び幹部職員を招聘し、西武流の情報システムや西武のノウハウを組み込んだ顧客カードを導入。店舗閉鎖や人員削減といった合理化を進めた。また、主力の横浜店、神戸店では改装が功を奏し売上が回復した。営業損益も黒字に転換し、2003年には計画の約半分の期間で再建及び民事再生手続きを終了している。
一方の西武百貨店は、
■筆者プロフィール■
澤田 英之(さわだ・ひでゆき)
レコフ 企画管理部 部長(リサーチ担当)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。