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2013年9月号 227号
(2013/08/15)
日本企業の海外M&A(IN-OUT)は2013年1-7月期283件と、2012年1-7月期の301件から18件、5.9%減少しているものの、2012年、1990年に次ぐ史上3番目の高水準で推移しており、引き続き好調といえる。283件の地域別内訳はアジア108件、北米83件、欧州65件、その他27件で、アジアが最も多い。2010年以降、北米、欧州を抑え、毎年トップに立っている。国内市場の縮小、欧米市場の停滞などを背景に、成長するアジアに活路を求める動きが本格化し、近年では中国からタイ、シンガポール、ベトナムなどアセアン地域へと広がりを見せている。アジアを中心とした対新興国M&Aの最近の動きをまとめてみた。
1. 2013年1-7月期の動き
(1) 対アジア
1-7月期のIN-OUTのうち、対アジアは108件と、前年同期の110件から2件、1.8%減少した(図表1参照)。金額は8169億円と、すでに前年1年間の4995億円を上回っている。国別内訳は中国20件(本土17件、香港3件)、タイ16件、韓国14件、インド、ベトナム、シンガポール各10件、台湾9件、マレーシア、インドネシア各8件の順で、対中国が前年同期の35件から15件、42.9%も減少したことがアジア全体の件数の減少に大きく影響した。他方、タイとシンガポールがそれぞれ前年同期比13件、6件増加しているほか、ベトナム、マレーシアなども前年同様の高水準で推移しており、アジア進出の動きがアセアン地域へと広がっている様子が見て取れる。中国の景気減速、賃金高騰に加え、領土問題を巡り日中間の緊張が長引くなかで、「チャイナプラスワン」、あるいは中国に替わる市場として存在感が高まっているほか、新興国の急速な成長から生まれてくる様々な需要に対し、これまで日本企業が培ってきた技術やノウハウを生かせる点でも、M&A手法の有効性が認知されてきているようだ。
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