[M&Aの現場から]

2013年12月号 230号

(2013/11/15)

【UBIC】 米国の民事訴訟に独特の「ディスカバリ(証拠開示制度)」対応で日本企業を支援する

 守本 正宏(代表取締役社長)
  • A,B,EXコース

NASDAQ市場に上場

守本 正宏氏   UBICは2003年守本正宏氏が設立した国際訴訟支援事業、コンピューターに関する科学捜査で使われるコンピューターフォレンジック調査事業を専門に行う企業である。近年、M&Aなどによる日本企業の海外成長市場への進出が増加しているが、それにともなって日本企業が直面しているのが現地での訴訟リスクだ。とりわけ、米国の民事訴訟では「集団訴訟制度」と共に「ディスカバリ」と呼ばれる独特の証拠開示制度があり、日本企業を悩ませている。IT時代となって、証拠となる情報の対象は紙だけでなく膨大な電子情報も含まれるようになった。例えば普通の個人が持っているPC内の情報を紙に出力すると、トラック4台分になるといわれる。それに加えて、電子データは消去や書き換えが簡単に行える。原本性が疑わしくなると、証拠としての採用も難しくなるため、原本性を確保することに注意しながら取り扱い、調査し、証拠としなければならない。これらの作業を弁護士が行うのは困難なので、電子情報を証拠として取り扱う専門業者が必要となる。UBICはこのディスカバリを専門に行う企業である。

  同社を設立した守本氏は、1966年4月生まれ。防衛大学理工学部電気工学科を88年に卒業。幹部候補生の養成学校を経て89年海上自衛隊に任官。幹部、教官を務めた後、03年6月末に退官。同年8月にUBICを立ち上げたという異色の経歴を持った人物。

  「防衛大学の先輩で、商社の米国法人社長をしておられた方から米国にはディスカバリ専門の解析会社があるが、日本にはそれがなく、米国での訴訟に関連して日本企業の重要な情報が海外に流れているというお話をうかがいまして、現在の会社を立ち上げました」と、守本氏。

  07年東京証券取引所マザーズ市場に上場した同社は、13年5月、本場米国での認知度向上を狙って、日本企業としては99年8月のIIJ以来2社目となるNASDAQ市場への上場を果たした。現在は米国3カ所、英国、韓国、台湾にも支社を構え、日本、米国、英国、韓国、台湾にデータセンターを設立し、それらの国と地域でディスカバリ対応ができるというサービスを提供している。

  そこで、守本社長に米国民事訴訟におけるディスカバリの実際と、日本企業が抱えるリスクについて話を聞いた。

  

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