[視点]

2014年3月号 233号

(2014/02/15)

ルール・ベースとプリンシプル・ベース

 石黒 徹(森・濱田松本法律事務所 パートナー 弁護士)
  • A,B,EXコース

1.はじめに

  平成10年9月24日提出にかかる公開買付届出書がある。独ダイムラーベンツが米クライスラーを統合するため(形式的には新会社であるダイムラークライスラーが、世界各国に上場されているダイムラーベンツとクライスラーを傘下に置くもの)、ダイムラークライスラーが、ダイムラーベンツ株式を取得する目的で、独・米その他の地域とともに、日本で行った公開買付けに関するものである。

  これは、多分日本で初めての株式を対価とする公開買付けだが、届出書には、下記の様な記載がなされている。

(1)買付期間は、外国公開買付け(日本と同時に独米等で行われる公開買付け。以下同じ。)が延長される場合は、本邦でも延長されることがある。

(2)買付けの対価は、買付者(ダイムラークライスラー。以下同じ。)の株式で、内外公開買付け(外国公開買付けと日本の公開買付けを総称する表現。以下同じ。)全体で90%以上の応募があった場合は、1.005株だが、90%未満の場合は1株。

(3)決済の開始日は、外国公開買付期間が延長(最大1カ月)された場合は、それに合わせて、本邦の決済も外国公開買付けの決済の約1週間後に開始される。

(4)買付条件として、内外公開買付け全体の合計応募数が、発行済み株式の75%に満たない場合は、本邦の公開買付けの応募数にかかわらず、本邦の公開買付けは行われず、逆に内外公開買付け全体の合計応募数が、75%以上の場合は、本邦の応募数にかかわらず、本邦の公開買付けは実行される。

(5)買付者がダイムラーベンツの吸収合併を取り止めたときは公開買付けを撤回する。

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング