[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2014年5月号 235号

(2014/04/15)

第112回 自動車部品業界 自動車メーカーの「モジュール化」戦略が促すサプライヤーの再編

 編集部
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業績好調の裏で

  一般社団法人日本自動車工業会が発表した2012年(暦年)の国内四輪車生産は、エコカー補助金の追い風を受けて前年比18.4%増の994万2711台と2年ぶりに前年実績を上回ったが、13年は前年比3.1%減の963万70台となっている。こうした中で、自動車部品メーカー(以下サプライヤー)82社の12年度の業績は、以下の表(一般社団法人日本自動車部品工業会「平成24年度の自動車部品工業の経営動向」)に見る通りで、売上高については、東日本大震災やタイ洪水の影響によって大きく落ち込んだ11年度の水準を上回って、前年同期比で8.5%増となっている。利益については、前年同期に対して営業利益以下全ての項目で増益となったが、客先・製品構成等の違いから回復のスピードについては各社に差異が生じており、減益企業も半数近くある。

平成24年度の自動車部品工業の経営動向

  売上高の上位メーカー5社を見ると、デンソー(3兆5809億円)、アイシン精機(2兆5299億円)、豊田自動織機(1兆6152億円)、トヨタ紡織(1兆794億円)、ジェイテクト(1兆675億円)と、いずれもトヨタ自動車系が占めているが、「トヨタ系主要部品メーカーの、豊田自動織機、デンソー、アイシン精機、東海理化、豊田合成、トヨタ紡織の過去の収益ピークである08年3月期の営業利益を100とした場合、トヨタ自動車のグローバル生産が当時の水準を上回っているにもかかわらず、これら部品メーカーの収益の回復度合いには格差が生じています。具体的には、デンソー、アイシン精機、豊田自動織機などは過去のピーク収益までの回復、もしくは更新が見込まれる一方、トヨタ紡織、豊田合成、東海理化などの収益回復は相対的に遅れている状況です。主な要因としては、自動車需要の新興国シフト、小型車比率の上昇、自動車組み立てメーカー(OEM)の競争激化などが進む中、OEM向けの台当たり単価を維持、もしくは上昇させられる部品メーカーが限られてきていることが挙げられます。つまり、高付加価値部品・システムを提供することで、台当たり単価の引き上げをOEMに要求できるサプライヤーと、そうではない部品メーカーとの二極化が進んでいるということです」とクレディ・スイス証券株式調査部の秋田昌洋アナリストは解説する。

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