[視点]
2014年11月号 241号
(2014/10/15)
一 合併等の差止請求権の創設
法的な観点から望ましくない合併が実行されようとしているときに、関係者がそれをやめさせることを合併の差止めという。今般の会社法改正においては、合併の差止めにかかる規律に一部修正が加えられることになった。
(1)従来の略式組織再編の差止請求権
現行法にも合併の差止請求権にかかる規定はあるが、その対象は、いわゆる略式合併、すなわち、子会社と、その子会社の株式の9割以上を持つ親会社との合併またはそれに類するものに限られている(会社法784条2項・796条2項。以下、引用する条文は、会社法のものである。なお、以下の話は、合併以外の会社法上の組織再編である会社分割や株式交換にも該当するが、紙面の都合上、合併に限定して話を進める)。この差止請求権の要件が満たされるためには、(i)法令・定款に違反すること、または(ⅱ)合併の対価として株主に交付される財産が合併の当事会社の「財産その他の事情に照らして著しく不当である場合」であることが必要であり、それに加えて「株主が不利益を受けるおそれがある」ことが必要である。この請求権の主な意義は、次の2点にある。
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