[M&A戦略と法務]

2015年2月特大号 244号

(2015/01/15)

完全子会社化の手法と近時の動向~会社法改正による新たな手法の登場もふまえて~

 清水 真紀子(TMI総合法律事務所神戸オフィス 弁護士)
 米田 紀子(TMI総合法律事務所神戸オフィス 弁護士)
  • A,B,EXコース

第1 はじめに

  近年、上場会社が他社の完全子会社となるケースが目立っている。毎年50社前後存在する上場廃止企業の約8割が、完全子会社化(本稿では、「ある会社の株主を1名又は複数名に絞り込むこと」を指す)を廃止理由としている。

  本稿においては、この完全子会社化について、まず採りうる手法(法的スキーム)についてそれぞれのメリット・デメリットの検討を含め整理したうえで(第2)、近時の上場会社による上場会社の完全子会社化において実際にどの手法が用いられているかについて事例分析を行い(第3)、手法選択における考慮要素は何かについての若干の考察を行ったうえ(第4)、会社法の改正によって新たに導入される手法に触れることとする(第5)。

第2 完全子会社化の手法

  完全子会社化の手法としては、完全親会社となろうとする会社(以下、単に「親会社」という)が、完全子会社としたい会社(以下、単に「子会社」という)の個々の株主全員から株式を買い取るなど、株主の個別同意を得て行う方法も理論上は考えられるが、特に上場会社の完全子会社化において個別同意を得るのは現実的ではないため、実務上は、これを要しない手法、すなわち主として以下の(1)株式移転、(2)株式交換、(3)二段階買収が用いられる。

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