[寄稿]
2016年5月号 259号
(2016/04/15)
1. はじめに
王子製紙(当時)による北越製紙(当時)に対する敵対的買収の試みが不成立となってから今年でちょうど10年となる。私はこの王子・北越事件において防衛側である北越製紙の法務アドバイザーであった。その立場からみると、王子製紙による北越製紙に対する敵対的買収が成立しなかったことは、当時の状況において一定の必然性を有するものであった。
それから10年が経つが、敵対的買収はあまり活発ではないといわれている。実際にも、かつてはよく耳にした敵対的買収であるが、最終的に成立した数は多くない。上場企業同士の敵対的買収は1件しか成立していないとされている。しかもこの事例は、買収対象会社が最終的に買収に賛成の意見を表明したものであった。つまり、日本では上場会社の敵対的買収は成功事例がないともいえるのが実情なのだ。
しかし、これからの数年の間に敵対的買収の状況は大きく変わる可能性がある。
なぜか?
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